与論〜奄美 Island Hopping2004
<与論島・沖永良部島・徳之島・奄美大島シーカヤック海峡横断200kの旅> |
●お笑い冒険家野元さんのオフィシャルサイト「かごしまカヤックス」でこの旅のリポートがアップされました。 http://homepage1.nifty.com/k-kayak/ |
●この旅のパートナー漕海娘まどかさんのリポートです。 http://www.wfkayaks.com/index.htm |
「どうせなら海峡横断でしょ!」自分の冗談から飛び出したこの企画は、昨年の11月「セルフディスカバリーアドベンチャーレース・イン・屋久島」(パワースポーツ主催)終了後、鹿児島へ戻るフェリーの中で生まれた。屋久島でのレースでサポートいただいたお笑い冒険家野元尚巳さん(かごしまカヤックス代表)からフェリーの中でワールドワイドなシーカヤック体験を聞いていたら、むしょうにシーカヤックがやりたくなってしまい、冒頭の大口をたたいてしまったのだ。と言いながら忘れかけていたこの企画。今年の春にはすっかりと形になっていた。野元さんはお笑い冒険家は仮の姿でほんまもんだった。 海峡横断前日の8月2日。出発地与論島で海を知り尽くしたガイド2名と参加者8名とご対面。ガイドのお二人はお笑い冒険家野元さんに漕海娘まどかさん。参加者はBABUu(バブゥ)、海人(うみんちゅ)、宮崎のジョー、ニヒルな丸、奄美の姐御、天然のクミ、ポリネシアやすよ、そして自分。もちろん、シーカヤックに乗ったことがなく、いきなり海峡横断を決行しようとする非常識な人間は自分だけだ。今回、使用するシーカヤックは2人1組で乗るダブル艇。その非常識な人間のパートナーを任されたのは漕海娘まどかさん。スプレースカート(乗るところに水が入らないようにする画期的なスカート)の着用の仕方も解らず戸惑う自分にいささか呆れ顔。そりゃそうでしょ、なんせ初めてなんだから。お許しください。 |
ついにやってきた海峡横断1日目。本日の行程は与論島ウドノスビーチから沖永良部島和泊までの約50k。経験豊富なロードバイクなら1時間40分、得意のランニングなら5時間、などと考えながらシーカヤックの50kがツライのか解らないけど、とにかく漕いで漕いで漕ぎまっくたら着くだろうと自分なりに納得し出発だ。大海原に放たれたみんなのシーカヤックは快調に進む。が、自分のパドリングだけロボットのようにぎこちなく、不規則に進んでいるよう。タンデム艇の後部座席の司令塔漕海娘まどかさんから的確な漕ぎ方の指示が飛ぶ。中盤にさしかかる頃、うねりが出始め4m以上はありそうな波が我々に襲いかかるがみんなは平然だ。波の出るプールに落ちている木の葉にように超不安な自分の心境を察してか、気を落ち着かせようと漕海娘まどかさんからトトロの歌がリピートされていく。そのうちにサザエさんのテーマソングに代わり、テンポよく先を進んでいった。訳解らぬうちに10時間以上漕ぎっぱなしで何とかクリアした初日の漕海であった。(第1日目:与論島ウドノスビーチ6:00出発〜沖永良部島和泊17:00到着、漕行距離52km) |
2日目の目的地は徳之島鹿浦まで約40kの行程。やや馴れ始めてきたパドリングだが腰がいやな感じで痛い。痛すぎる。そうこうしていると、遠くからリズムに乗って何やらこちらに向かってくる小舟を発見。それは何とシーカヤック。みんなア然。こんなすっとんきょな旅をしているのは我我だけかと思いきや他にもいたのだ。そのシーカヤッカーは、イケ面素潜り漁師八幡君。お笑い冒険家野元さんの知り合いだった。日本近海、それも沖永良部島と徳之島の海峡で知り合いのシーカヤックとばったり会うなんて、宝くじ3億円が当たる確率とどっちが高いだろうか?驚きはそのイケ面素潜り漁師は神奈川県葉山から漕いできたとの事。(実際は鹿児島まで漕いできて、一旦沖縄までフェリーで渡り、北上してきた。)イケ面素潜り漁師の話しをすると長くなるがふれておこう。素潜りで魚を採るのが職業(?)なのだが、より効率的とシーカヤックを移動の手段として用い、日本各地の海を職場に生活している。これからの予定は鹿児島から日本海を進んで北陸を目指し、寒くて潜れなくなったら終了とのこと。職場は日本に限らず、時にはインドネシアやオセアニアまで出張するらしい。いろんな人がいるもんだ。イケ面素潜り漁師は、葉山から今までシーカヤッカーに一人も会わず、人恋しくなっていたこと、それと目的はどこに行くというよりは漁が目的なので急ぐことはない。ということで一緒に行動することにした。 これで日々の食材には新鮮な魚介類が加わった。腰の痛みもすっかり忘れ、やっとの思いで徳之島へ横断。そのあたりから手首がぼっこんと腫れてくる。今夜はイケ面素潜り漁師の採りたてと地元漁師からの差し入れ魚介類で超豪華な夕食を堪能した。手が届きそうな星空のもと、みんなは心地よい眠りに沈んでいった。(第2日目:沖永良部島和泊6:00出発〜徳之島鹿浦14:00到着、漕行距離42km) |
3日目は徳之島を海岸沿いに移動。これが一筋縄に行かない。徳之島の海岸沿いは潮が安定せず波も荒いので非常に漕ぎにくく体力と共に技術も必要とのこと。昨日、少し不安であった手首の腫れが広がってきて痺れてくる。腰の痛みも重なり体調は絶不調。自分の体調を配慮して漕海娘まどかさんが一人踏ん張り漕ぎまくってくれ3日目を乗りきった。ここでの宿泊は与名間ビーチ。ここには大浴場が完備されていおり、3日間の疲れを癒した。(第3日目:徳之島鹿浦6:00出発〜徳之島与名間ビーチ17:40到着、漕行距離26km) 4日目は最大の難所、徳之島〜奄美大島横断である。潮に逆らって進むこのルートは力が十分に伝わるパドリングでぐいぐいと行かないと乗りきれない。みんなも疲労がピークに達している。漕海中はみんなで励まし合い、お笑い冒険家野元さんは声をだして気合を入れる。自分はというと絶好調なのである。腕の痛みは中と半端に漕ぐと痛みが増すのであるが、思いっきり漕ぐことにより痛みを忘れるのである。そこで漕海娘まどかさんとの作戦は、ラントレーニングではお馴染みのインターバルトレーニングを採用した。それは約200〜300mを思いっきり気張って漕ぎ、みんなが追いつくまで休み、再度ダッシュ。これを何度も繰り返す作戦。作戦が効をそうし最後までモチベーションを保つことが出来た。この日は4時間漕ぎ続けても10k程度しか進まない潮流を経験し、自然の中での自分の無力さを実感した。目的地与路島に到着後、この潮流をみんなで乗り越えたという充実感がからだ全体に表現され、満面の笑顔でハイタッチし合う。日を追う毎に一体感が増してくる海峡横断チームメンバーの面々であった。(第4日目:徳之島与名間ビーチ6:00出発〜奄美大島与路島15:30到着、漕行距離43km) |
5日目、ここまでくれば一安心と今日は遅めの9:00に出発。目指すはヤドリ浜。24kの漕行距離ということでお楽しみツーリングかと思っていたが、前線が迫っていることもあり不規則な白波が立つ。それも逆潮なので時速4〜5kが精一杯だ。しかし、ここまで乗りきってきた海峡横断チームは、根をあげることなく淡々と前を行く。そう、目標達成までもうすぐなのだ。さすがに後半は潮がきつくなり、諸鈍(加計呂間島)を陸路横断。そこからヤドリ浜に向けあと約6kの漕海。みんなハイテンション。ハイな気分がタイムトライアルのように軽快に飛ばす艇や奄美の内海をゆっくり堪能している艇など様々だ。さぁ、ヤドリ浜が近づいてきた。ヤドリ浜には先行したイケ面素潜り漁師八幡君が今日も大漁と満面の笑顔で迎えてくれた。(第4日目:奄美大島与路島9:00出発〜奄美大島ヤドリ浜17:00到着、漕行距離24km) 6日目、今日で海峡横断は終了。戦いを終えたシーカヤック達を運搬する港に移動する為、古仁屋まで6kの漕海。その古仁屋港では島まつりの真最中で、大勢の人々に見守られながら入港した。 ついに終わったのだ。6日間の与論島・沖永良部島・徳之島・奄美大島海峡横断200kの旅が。個性いろいろおもしろ冒険隊、海峡横断チームの旅。この旅を演出したお笑い冒険家野元さん。いやいや、ほんまもんの冒険家野元さんの様々な経験や日々の研究があってこその成功に心より感謝。パートナー漕海娘まどかさんには、パドリングの全てを伝授していただき、さらに長い漕海中でのありがたいお話、それもバックミュージックを織り交ぜて。本当にありがとう。そして、濃密、濃厚な6日間の漕海を共にしたチームメイトたち。この思いでは一生忘れないであろう。 日本各地から参加したチームメイトたちは再会を約束して散って行く。それぞれまだらに日焼けした顔で日常生活に戻って行く。一人残されたイケ面素潜り漁師八幡君。これからも八幡君の旅(出稼ぎ?)は続くであろう。どこかの港や海岸で八幡君に出会ったら、きっと人恋しいと思うのでやさしく声をかけてあげよう。新鮮な魚介類のご馳走がゲットできるはず。 終わってしまえば更なるチャレンジ精神がわいてきた。今度は台湾海峡横断ですかねぇ野元さん! |
旅
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やったね!
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メンバー紹介
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ツアー行程 第1日目 ウドノスビーチ[与論島]6:00出発⇒⇒⇒和泊[沖永良部島]17:00到着 <漕行距離52km> 第2日目 和泊[沖永良部]6:00出発⇒⇒⇒鹿浦[徳之島]14:00到着 <漕行距離42km> 第3日目 鹿浦[徳之島]8:30出発⇒⇒⇒与名間ビーチ[徳之島]17:40到着 <漕行距離26km> 第4日目 与名間ビーチ[徳之島]6:00出発⇒⇒⇒与路島[奄美大島]15:30到着 <漕行距離43km> 第5日目 与路島[奄美大島]9:00出発⇒⇒⇒ヤドリ浜[奄美大島]17:00到着 <漕行距離24km> 第6日目 ヤドリ浜[奄美大島]9:00出発⇒⇒⇒古仁屋[奄美大島]10:00到着 <漕行距離6km> 参加者 10名(男6名・女4名) お笑い冒険家(野元 尚巳)・漕海娘(伊嶋 まどか)・宮崎のジョー(向所 隆文) BABUu(林田 敏典)・海人(八重尾 崇)・ニヒルな丸(秋丸 真一) 天然のくみ(堂園 久美子)・奄美の姐御(千葉 仁美)・ポリネシアやすよ(川本 恭代) イケ面素潜り漁師(八幡 暁)・自分(滝川 次郎) トータル漕行距離 193km ツアー管理 かごしまカヤックス 使用シーカヤック タンデム艇(ウォーターフィールドカヤックス製) |