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コラムNO.116「ウルトラ・デュ・モンブラン(UTMB)参戦記/モンブラン1周170kmの旅」

トレイルランのイベントを運営していて、かつ自分も年に2〜3回は国内のトレランレースに参戦しているからには、一度は世界最高峰のレースに出てみたい、いや出なければならないと漠然と考えてました。

参加資格(参加ポイント)が厳しく、応募しても初めてだと当たる確率が低いと聞いていたので、応募し続けても2〜3年は当たらないと思っていたのに、初めての応募でいきなりの当選で実のところ焦ってしまいました。応募したことや当選したことも公にしていなかったのですが、その理由は心の準備が出来てなかったからでした。当選して戸惑ってしまい、すぐには参戦する気持ちにならなかったのが、正直なところ。けれど参加費の支払期限が近づくにつれ、UTMBに出たくても当選出来なかったり、ポイントが足らなかったり、仕事や家庭の事情があったり等、出れない人の事を思うと、当選という幸運を無にしてはならないという気持ちが高まり、参戦の覚悟を決めることにしました。

自分の仕事上の立場からUTMBはこう言ったらちょっと嫌らしいのですが、絶好の宣伝の舞台です。成績によってはパワーバーやトップスピードの販売に繋がるかもしれないし、主催するイベントの評価が高まる可能性があるかもしれません。参戦を決めたからには実力を発揮するべく、自分なりに考えた効率的なトレーニングを積み重ねました。また完走目標タイムや目標順位を公言し、毎度のように自分にプレッシャーを与えることに。効率的なトレーニングと言っても、いつもとあまり変わらず、坂道インターバルやトラック練習、そして峠走をメインに月間走行距離は180kmを越えないこと心がけ、その他バイクやスイムのトレーニングを平行して行ってきました。

細かいことを気にしない自分でもモンブランへの旅立ちが近くなってくるに従い、やはり不安になり、トレイルランの専門誌を執筆し、ご自身でもUTMBに3回参加されているNさんにサポートをお願いすることにしました。このサポートが今回の成績に繋がったことは言うまでもありません。

いよいよ旅立ちの日。生まれつき大雑把な性格なので、2〜3日前まで出発日を勘違いしてたり、出発空港を間違えてたり、究極はチェックインしようと空港カウンターでパスポートを出したら期限切れのパスポートで、慌てて自宅に引き返したりと自分に失笑してしまいました。(出発の3時間前に空港に到着していてラッキーでした。)

空港でNさんらと合流し、ドバイ経由で、いざシャモニーへ。到着後、飛行機の中でたらふく食べて飲んで重たくなった身体をちょっと絞ろうと言うことで、Nさんにレース終盤のコースを案内してもらいました。7〜8km走っていい汗をかき、夜はシャモニーの町に繰り出しました。町中トレイルランナーで埋め尽くされていて、様々な言語が飛び交い、まさに世界最高峰の舞台に来たと心が踊ります。

翌日はシャモニーに来たら有名な観光地「ミディ」に行かなければとロープウェイに乗ってモンブランのお隣の山頂へ向かいました。ミディはこれまた凄い景色でした。神々しいモンブランが眼前に迫り、息を飲む美しいさで、改めてこの地に来れて良かったと思いました。ミディから降りてきて選手受付へ。エキスポ会場のブース数は東京マラソンエキスポよりも多いほど。もちろんパワーバーブースも出展してました。選手受付はピークを過ぎたのか、意外に空いていてスムーズ。受付では抜き打ちで携帯電話、サバイバルブランケット、レインパンツ、ハイドレーションの4点の荷物をチェックされました。

大会記念Tシャツ等たくさん買い込み、この日OCC(55km)というレースが開催されていたので、フィニッシュ横のレストランで応援しながらの夕食を楽しみました。

翌日のレースに備え21時過ぎに就寝、翌日起きたのが8時と、睡眠時間はなんと11時間。朝ごはんはNさんがアルファ米などでカレーを作ってくれました。スタートは夕方6時なので、朝ごはん後、さらに就寝しこれでもかというほど、鋭気を養うことができました。

スタート地点では前の方に並ばないと渋滞が発生するとのことでホテルを16時30分に出発。すでにスタート地点は人だかりでしたが、隙間を縫ってよい場所をキープすることが出来ました。

今回の目標タイムは30時間以内とエイジ別表彰台(当初表彰台は5位までと思ってたのですが3位までした。)の2つ。各チェックポイントの目標タイム設定は「コンタミン4時間」「クールマイヨール13時間」「シャンペ湖22時間」「バルノシーネ27時間」そしてフィニッシュが30時間でした。もちろん各チェックポイントには献身的なサポートを施してくれるNさんらが待ってくれています。

18時いよいよスタートです。コンタミンのサポートポイントまでの大雑把なコースは始め平坦な8km位ロードや林道を行き、大きな山岳700m位登り、一気に下って、さらに10kmだらだら登るコース。同じ実力と思われるチームメンバー(Uさん、Iさん、Sさんら)と行き交うことができ心強く進めました。けれど登りきって下りに差し掛かったところで異常事態が起こりました。下半身の所々が攣り出したのです。理由はわかりません。岩に躓いて痙攣で立ち上がれなくなった時、大会スタッフが医者を呼ぼうしてしまい、このままでは強制リタイヤになってしまうと思い、必死のボディランゲージで筋肉の痙攣を表現し、何とかレース続行することができました。その後、度々襲いかかる痙攣に立ち向かいながらコンタミン到着です。

[LES CONTAMINS 距離31km、目標タイム4時間、到着タイム4時間1分、総合順位367位]

コンタミンでチキンラーメンをご用意頂き、パワーバーやトップスピードを補充し、痙攣した筋肉に冷水をぶっかけ出発。次のクールマイヨールのサポートポイントまでは、このコース最大の1500mを一気に登り、その後、1000m下って、さらにアップダウンを繰り返すという厳しいパートです。スタート後、なぜかしら筋肉痙攣はすっかりと収まり、あれはなんだったんだと思ってしまいました。ということで最初のデカイ山の登りは絶好調で、面白いように抜いていけました。登りきった後のトレイルは雲海が引き詰められた絶景が広がっていて、本当に素晴らしい世界を望め、その後夜が明けてきて、陽に照らされた山々にさらに感動を覚えながら進みました。この区間調子に乗って進んだおかげで、最後の激坂で足がもつれ3回転倒とモンブランの洗礼を受けてしまいました。そして中間地点のクールマイヨール到着です。

[COURMAYEUR 距離79km、目標タイム13時間、到着タイム13時間15分、総合順位259位]

クールマイヨールではカップラーメン、アルファ米等頂き、補給食を詰め込み、これからの灼熱地獄を予想して水掛用のバイクボトルを用意していざ次のサポートポイントへと出発です。基本的にGPSとか持たないのでレース中は距離とか、標高とか、気にせず、どんなコースなのか、ワクワクしながら進むスタイルで、スタートするときに「次まで山はいつく越えますか?」 と聞くまでです。 Nさんのコースアドバイスだと「ド〜ンと登ってダラダラ進み、もう一度ドッカ〜ンと登って、登りきったら超長い下り、で、再度登ったらシャンペ湖ですよ。」と、分かりやすい説明を受けました。このコース最高の2525mまでの登坂は富士山練を思い出しながら、必ずこの難行は終わると、すでにガタついた足を一歩一歩前に出しながら進みます。やっとのこと山頂のグランコルフィレ峠に到着、けどそこからは果てしない下りが待ち受けてました。ガレガレの岩に雪上歩行と足場が悪く、またもや痙攣が襲ってくる恐怖との戦い、そして下りきったら灼熱地獄です。町中の水場を見つけては、頭を突っ込み、弱りきった両足に水を浸します。そしてシャンペという湖のチェックポイントなのに登らなければならないコースに心が折れかけます。ここで心がけなければならないことは、緩い林道やロードは遅くとも走り続けること。歩く癖をつけないことが肝心です。ようやく賑やかな避暑地シャンペ湖に到着。

[CHAMPEX-LAC 距離124km、目標タイム22時間、到着タイム22時間9分、総合順位169位]

この辺りまで来ると、前後の選手の変動があまりなく、登りではお互い協力し先頭交代しながら進んだり、下りは譲り合ったりと同士のように仲間意識が生まれてきます。レース終盤まで気にせずと思ってたエイジ別順位ですが、この時点で5位と聞き、可能性はゼロ出はないと気合いを入れました。噂には聞いていた終盤の3つの山が待ち受けます。ポジティブに考えるとあと3つでおしまい。2つの山を越えると最終のサポートポイントです。一つ目の山は、偽のピークがいくつかあり、かなり堪えました。一つ目を降りきったらエイドステーションがあって、これまで後ろ姿も見えなかった滞在中一緒に行動している100マイル初チャレンジのIさんがさすがに足が切れたのか、休憩していました。けど初チャレンジでここまでこの順位を保ってたのはすごいこと。これからは強くなっていく予感がします。「先行くね。」と声をかけて、二つ目の山へ。この山は比較的登りやすく、下りも走れるので、体力と気力が残っている人はタイムの稼ぎどころ。自分はというと日本ではあり得ない激しいコースに翻弄されながらここまで来たので、体力は使い果たしてましたが、なんとしても気持ちだけは切らさずに進むことが出来ました。その手段としてこの区間は抜かれたら選手は抜き返し、誰にも負けないこと。とは言っても元気な選手はいるもので、幾人かには抜かされましたが、なんとかメンタルは持ち堪え最後のサポートポイントのバルノシーネに到着。

[VALLORCINE 距離151km、目標タイム27時間、到着タイム28時間28分、総合順位141位]

ここで公言していた30時間切りは事実上無理になってしまいました。けれどエイジ別順位はまだ5位。表彰台のかすかな夢を抱きながら、フィニッシュへ向かう準備です。そこでサプライズ!この大会で総合3位に輝いたことのある鏑木さんが家族で応援しに来ていたのです。残す山は一つ。鏑木さんにコースアドバイスを受け、補給食を詰め込み、いよいよフィニッシュまでの最終区間への旅立ちです。最後にこれか!というほど登りがテクニカルでした。山頂からの下りも長かったです。けれど表彰台の夢が残されていると思い込んで、ストックの威力を十分発揮させ下っていきます。普段なら下りは極力減速するのですが、抜いていく下りの上手な選手のステップを真似て下りました。最後ロードに入り、途中で目標タイムを大幅に修正した33時間以内を目指し飛ばし続け、フィニッシュ手前で声援を送ってくれた仲間たちと合流し、32時間58分、エイジ別5位(総合142位)でフィニッシュ。ようやくUTMBのフィニッシュラインを越えることが出来ました。

[CHAMONIX 距離169km、目標タイム30時間、到着タイム32時間58分、総合順位142位、エイジ別順位5位]

残念ながらエイジ表彰、30時間切りには届きませんでしたが、今さらこんなことを言ってはいけませんが、目標が高すぎたようです。この結果は、自分としては出来すぎのような気がします。

結果に満足した理由は「筋肉痙攣の克服」「終始メンタルが切れなかった」「計画通りのエネルギー補給」「笑顔を絶やさず」「集団では果敢に前に」大きくこの5つを敢行出来たこと。

UTMB。最高のロケーションでの世界最高峰レース。ホスピタリティー、救急体制、応援者への配慮等、申し分のないレースでした。大会主催者として見習わなければならない点が多く、かつ、選手としてもこの舞台で世界の強豪エイジたちに立ち向かいたいと思います!(来年チャレンジとはとても公約出来ませんが)

今回の補給食
● パワージェル 47個
● エナジャイズバー 4本
● ウエハース 2個
● パワージェルショッツ 2袋
● トップスピード 24個
● ミネラルタブレット 7リットル分
● カップラーメン 2食
● 赤飯 1食
● ポタージュ少々
● 麦茶 1.5リットル
● コーラ 少々
● オレンジ 少々

関連Webサイト

UTMB
ドックスキャラバン(日本のトレランサイト)


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