日本大学農獣医学部農芸化学科を卒業して東洋醸造へ就職。大学時代は食品化学研究室に在籍し、主にビタミンCの研究を行っていた。その関係で食品研究を行っていた東洋醸造を選んだのだが、配属されたのは酒類営業部。お酒の営業だった。勤務地は愛知県。愛知県というと商売が厳しく、特によそ者(中部出身以外)には冷たく、打ち解けるまで時間が掛かるといわれる場所と、先輩たちから聞いていてビビッていた。大手食品問屋や地場酒問屋をいくつか担当し、その先の酒屋さん、そのまた先の飲食店を営業して回る。月末は数字を作るため担当問屋に自社製品を積んでもらうように頼み込む。聞いていたよそ者に冷たいというのも、仲間として判断してくれたらとことん信頼してくれる土地柄というのが、すぐにわかった。ただし、信頼を損なうとこの地では商売が出来ないという、人との絆を大切にする場所だと感じた。バブリーな時代だったので毎日飲み歩き、パーティーに合コンなど、よく肝臓が壊れなかったものだと今思う。スポーツはゴルフにスキー。仕事中でもゴルフクラブをトランクに入れて、よく練習に行ったもんだ。
時代はさらにバブリーになり、新聞には中途採用募集が4ページに渡っていて掲載され、転職し放題だった。勤務年数約5年であっさりと退社し、日本交通公社へ転職。同期の中途採用者は多分100名位いたんじゃないかと思う。英語もしゃべれない自分を採用したこの会社。つくづくバブリーな時代と振り返る。採用地は都内の蒲田支店。団体営業部門だった。この会社に入ってすぐに、日本交通公社という絶大なネームバリューを感じた。名刺1枚でどこでも入り込むことが出来た。営業する場所、その相手は、全ての会社に日本国民なのだ。蒲田周辺が営業エリアだったけど、特に規制も無いので、自分は華やかな場所とテレビ朝日や日テレなど飛び込み営業。ウィーン少年合唱団全国公演など海外アーティストのアテンドや局で募集する海外ゴルフツアーやメジャースポーツ観戦ツアーなどを企画した。そしてオリンピック。アトランタでは某陸上部を担当し、シドニーでは某競技団体の観戦ツアーを企画した。また、海外でもネームバリューを発揮し、ハワイでトライアスロンのレースを作った。現在、ホノルルトライアスロンというレースが開催されているが、自慢すると自分が最初。そのレースはアイアンマンハワイの権利を獲得できるアイアンマン・クオリファイレースだったり、宮古島トライアスロンの姉妹レースだったり、当時、日本から300名近く参加する大きなレースだった。そして、自分の今があるのはこのレース。現地でスポンサーになってくれたブランドが｢パワーバー｣なのだ。
思い返してみた今の自分。人との出会いが大きく人生を変える。これからもいろいろな人に出会い、いろいろな経験をし、いろいろな判断をして、人生を歩んで行くことになる。
これからの自分の人生、どうなって行くのか考えると楽しくなる。笑いながら生涯を遂げられれば、なお、楽しい。
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