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コラムNO.87 奥久慈

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 今年で3回目を迎えた「OSJ奥久慈トレイル50K」。

 関東にあるが都心から、鉄道でも車でも4時間近くかかり、登山といってもそれほど有名な山がある訳でもない。自分もよほどのきっかけがなかったら、この地を訪れることはなかっただろう。そのきっかけがあってこの地のトレイルと出会ったのだが、その時の衝撃は今でも思い出される。初めて訪れる地。まったく道がわからず、3日間あらゆるトレイルを走り回った。それでも走り足らず、お正月も走りに来た。シングルトラック、ダブルトラック、林道、岩場、渓流、激坂、鎖場など、様々なトレイルが待ち受けていて、本当にこの地に出会えてよかったと思った。いつも移動手段はヒッチハイク。どの場所に出るかわからないので、夕方まで走り、道路に出たところで通りがかりの車に向って手を挙げる。止まってくれた確率は80%以上。心優しい土地柄が嬉しかった。

 第1回大会は一昨年の4月。もっと身近な場所や信州など有名な場所でトレイルレースが目白押しの時期。コースには自信があったけど(OSJ的に)、誰も知らないトレイル、おまけにアクセスが悪いという「奥久慈」に、はたして参加してくれるのか、主催者ながら超不安だった。そんな不安もなんのその、たくさんのトレイルランナーが(怖いもの見たさ?)に参加してくれた。そして第2回大会も。

 第3回大会の1ヶ月前、東北大震災が勃発。奥久慈も被災した。電話が繋がらず、被害の大きさが心配された。福島との県境で原発問題もただ事ではない。軒並みスポーツイベントが中止となりこの大会も、と頭によぎったが、被災地でのレースを実現したいという地元の思い、自分の思いが一致し、延期してでも開催と判断。そして6月に実現することができた。沿道で応援してくれるおじいちゃん、おばあちゃん。エイドステーションで自家製の食べ物を提供してくれるご家族。フィニッシュで選手を迎えてくれる子供たち。今までよりも多くの人たちが参加選手を温かく見守ってくれた。開催してよかった。本当によかった。

 被災地でのレース。9月は安達太良山を予定している。奥久慈よりも被害が大きい。拠点となる岳温泉は避難所となっていて観光客は激減している。けれど、美しい安達太良山は健在だ。福島県のためにも開催したい。自分の中ではこのレース開催が今年の一番の目標かもしれない。

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