セルフディスカバリーアドベンチャー マウンテンラン・ペアマッチレース
IN HAKUBA レポート&リザルト



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 国内では常に人気ランキング上位 に入る有数の山岳エリア「白馬山麓」を舞台に、今年初めて「マウンテンラン・ペアマッチレース・イン・白馬」が開催された。五竜とおみスキー場をスタートし、五竜岳から唐松岳を巡り、八方尾根スキー場に隣接する長野オリンピックジャンプ競技の舞台となったジャンプ台でフィニッシュする約22Kの山岳ランニングレース。
 レースは4つのステージがあり、ステージごとに休息タイムが義務付けられている。レース名通 り2名1組のペアで行うレースでもあり、常に行動を共にし一緒にフィニッシュゲートを目指すという、アドベンチャーレース要素を取り入れた新しい形のランニング競技である。
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 開催日の3日前、スタッフがコースチェックとコース上の標識設置を兼ねたコース試走を行う。コース試走は今年3回目。過去2回は雪解けが進み登山シーズン間近かの5月中旬と8月の夏真っ盛りの時期。今回は最終チェックということで少しぺースダウンし、最終チームタイムをイメージして試走した。しかし、コンディションは最悪で第2ステージの小遠見山から第2ステージフィニッシュ地点の五竜山荘へ向かうシングルトラックは、前々日の初雪が溶け出しドロドロの状態。五竜山荘手前の山頂では、風が吹き荒れ雨も激しくなり、ガスも発生し視界は1m。五竜山荘から唐松岳に向かう一歩間違えれば滑落してしまう一番の難所大黒岳では、ついに吹雪となる。その時の気温は−7℃。
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大会当日、低気圧が停滞し悪天候が続く状態ではレース中止を考えなければと思いつつ、唐松山荘を経て第3ステージフィニッシュ地点の八方池山荘へ進む。この第3ステージは制限時間が授けられており、五竜とおみスキー場をスタートしてから10時間以内で到着しなければレースは終了となり、八方池山荘に宿泊し翌日下山しなければならない。
 しかしこのコンディションの中、八方池山荘までコースチェックをしながらの試走タイムは6時間。怪我などトラブルがなければ十分制限時間をクリアできるだろうと想定した。そして翌日と大会前日と再度コースチェックとスタート地点の設営を終え、大会当日を迎える。
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 大会当日、夜明けとともに空が白々とする頃には青空が広がりつつある。参加38チームの面 々がスタート位置を確認し白馬山麓を見上げている。前日移動した山頂の山岳スタッフから報告があり、山頂からは下界の夜景がはっきり見え、天気は良好とのことでひと安心。ペアでのレースということもあり、スタート3分前になっても選手同士、和気藹々に談笑している様子が何とも良い雰囲気を醸し出している。そして定刻AM6:00スタートし、選手は五竜とおみスキー場の急斜面 を駆け上っていった。
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 通常このコースをトレッキングすると所要時間は16時間の2日間コース。トップチームはタイムと最終チームのタイムが気になる。まずは第1ステージのスタッフからの報告があり、第1ステージ全チーム2時間以内で通 過し、第2ステージに進んだとのこと。第2ステージフィニッシュ地点の五竜山荘からの報告では、天気は良いが気温は低く、山頂付近のコースは凍りつき登山道はかなり滑りやすくなっている状態。第2ステージをトップでゴールしたチームは「フジカワ山岳会」、そして「Team CW-X」と続く。スタートから五竜山荘までの所要時間は通常8時間30分だが、トップチームの「フジカワ山岳会」のタイムは2時間23分と驚異的なタイムを記録した。最終チームも4時間で無事通 過。心配なのがその先の唐松山荘手前の大黒岳。足場がガレており鎖一本で渡る箇所が数箇所と、地面 が凍っている状態を考えると下界のスタッフは選手の無事通過を祈るばかりである。心配を他所に続々と第3ステージフィニッシュ地点である八方池山荘に到着してきた。
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 最終チームの「Team CW-ィ MD」も10時間の制限時間をクリアして、無事に最終ステージに進んだ。そして、フィニッシュゲートには数チームが団子状態でなだれ込む。接戦を制したのが男子チーム「オリエンテーリング京都」。惜しくも2位 となったのは何と男女混合チーム「よっちゃんちがちゃん」。3位には「フジカワ山岳会」が食い込んだ。トップタイムは4時間51分23秒。そして最終チーム「Team CW-X」も10時間41分と制限時間内に元気にフィニッシュ。参加全チームが大きな怪我などなく無事にフィニッシュし大会は終了した。
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 レースのためエリアを独占することの出来ない山岳レースの開催は、常に登山者との共存が不可欠である。参加選手の声からすれ違う登山者のほとんどが応援や激励の言葉をかけてくれたが、一部の登山者から危ないというクレームもあったという。国内有数の山岳エリアでこういったレースが開催される事は、アウトドアスポーツの普及のため大変貴重なこととだが、主催者としてレース開催にあたり登山者への配慮を第一に考え、理解を求め山岳エリアを共有することが大切なことだと実感した。参加選手にも通 常のランニングレースとは違い、山岳レースの危険性を充分説明し、理解してもらうことを徹底しなければと再度認識した。
  そして来年の開催に向け、さらに良い大会になるよう早々と準備を始めるとしよう。
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