スノーフィールド・チャレンジレース・イン・王滝
抜群の雪質と晴天率の高さを誇る木曽おんたけスキー場。 アドベンチャー指向のアスリートは冬のレースを待ち望んでいるだろう。と、欧米では週末ごとに開催されているウィンターアドベンチャーレースを思い浮かべ、きっと成功すると勝手に決め込み昨秋から開催準備を始めた。 雪のない秋のおんたけスキー場にて、漠然と種目とコースを組み立て、スキー場オープン後すぐに試走する。
  しかし、思うようには行かず第3ステージ試走中、コースを外れてしまい厳冬の中ホワイトアウト。ビバークも考えたが1日さまよい歩き、ようやく民家にたどり着く。第1ステージはゴンドラ下の急坂を登ろうと当初考えていたが、とんでもない。腰まで埋まる新雪をあえぐように進み、途中何度も天を仰ぐ。約3キロの距離を2時間かけてようやくたどり着くが、その場で倒れこんだ。 いろいろなコースを試走してやっと正式なコースや種目が決まったのは開催1週間前。しかし、レース前の天候次第ではゴンドラ運行中止の可能性もあり、当日レース内容の変更も余儀なくされるため代案も頭に入れとかなくてはならない。 そんなこんなでやっと迎えたレース本番! 肝心のレースの出来はというと・・・・。参加した選手の「レース参戦記」にてお伝えするとしよう。
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「スノーフィールド・チャレンジ・イン・王滝
総合優勝チーム「侍魂SAMURAI SPIRITS」 
佐藤佳幸さん 横山峰弘さん 文:佐藤佳幸さん」
 前日、初めての冬の王滝村に向かうと雨が降り出したな、と思ってまもなくそれが雪へと変わった。メおっ!このまま降り続けて積もってくれればスノーシューにもってこいのコンディション!ってことは、うちら2人にとっては好条件。たのしみがましてきた。
  大会当日の朝、雪はやんでいたが道は会場に近付くにつれて白くなっていった。いろいろとあってスタートまでの時間的ゆとりがなくなってしまった。朝食をたべたりトイレにいくのもままならいほどに慌ただしく受付をすませ、スタート地点へと急いだ。
  第2ステージの準備をしながら今回の流れをイメージする。あれやって、そしたらこれやってってな感じで。
 スタート時間がせまり係の人がスタート地点へ移動するよう呼びかけている。最後にもう一度忘れ物などないか確認し、いよいよスタートポイントへ。 
 第1ステージは普段は立ち入ることのできないリフト下をまっすぐ下り、くねくねと林道をあがってくるコースらしい。スタート地点にたってコースを見下ろすと新しいトレースはないようだった。おっ!いい感じ。こんな時先頭にでてゆくとずぼずぼと足は埋まりハードなラッセルをすることになり激しく体力を消耗するばかり。で、うしろに続く人たちには雪を踏み固め、より楽にすすめる条件をあたえてしまうことになる。レースだし賢くいかねばね。しか〜し、その反面 、誰も踏み固めてない雪のなかを、自分のあとに道ができるのさ。なんて思いつつ だっ〜〜! って感じであとさき考えず突き進むのが最高に面 白かったりする。せっかくここまできて、こんなおいしそうな雪が目の前にあるのだし。チームメイトの横山さんに、最初から前にでてゆきましょうと耳打ちした。そんなこと言っても言わなくても2人のすることは決まっていた、というかそうしてしまうことは分かりきっていた。いつもの山でお互いわかってる。 3,2,1ダーッ!って感じでスタート。
 一瞬まわりをけん制したのをいきましょう!と声をかけ前に飛び出た。うひょ〜っ、最高〜!出だしから楽しくてたまらない。しかし、雪はやはり昨夜の降雪で結構つもったらしくえらく深く、重かった。まだスタートしたばかりなのに、このままいったら・・。賢い自分がでてきた。後ろを振り返る、幸いというかおもいのほか差がひらいていた。前を向き直す、横山さんが振り返りもせずすごい勢いでくるったように雪煙をあげながら突き進んでいた。その光景をみた瞬間、賢い自分はまたお休みモードに。まて〜!って、同じチームなのに競いあうように2人人のトレースはたどらずそれぞれの道をゆく。先頭に出ようとするが出られない。スノーシューをつけていても膝までうまってしまうような深い雪のなかを僕の目の前の人は走っている、絶対あの人おかしいよと相手をみていた。
 リフト下は山肌をまっすぐに進むことになるので、えらく急ながけのようなところもでてきたりした。が、雪がないときだったらそんなところにいったら大変だろうけど、今そこは最高のすべりだいになっていた。これが雪の季節のいいところ。うぉ〜!こんなのもありだよね〜と心のなかで叫びつつ滑り降りる。これを予想して実は滑りやすいカッパの下を履いていたりした。
しかし、上をゆくゴンドラに乗っているひとはこの下界のいような人たちの光景をどんな思いでみていたのだろう。
  下りきると今度はくねくねと圧雪された林道をスタート地点まで登り返す。まっすぐ下ってきたところを傾斜をゆるくした道を登ってゆくのだから距離は帰りのほうが長い。登りはじめて間もなくして下りちょっと楽しみすぎたかな、とかすかに後悔。足が・・。それでも雪が踏み固められている分楽に進めたかな。淡々と進み続け、気付けば第一ステージ終了。
  さあ、いよいよお楽しみのスキーセクション。初めてのゲレンデでどんなコースかもわからないが、それがかえっていい感じ。出だしガスっていて視界はまっしろ。ふいに出くわすコブもスリリング。最近、安定感のわるいクロカンスキーで滑ることが多かったのでアルペンでのバランスがなんだかいい。初めてのコースでももんだいなしなんて思ったのもつかのま、勘違いもあってまだ途中のゴンドラ乗り場に間違っていってしまった。そこでゴールの準備をしていた主催者の滝川さんにもっと下だよといわれ駐車場を通 り抜け無事ゲレンデに復帰。そこから先でも人にこっちでいけますか?なんてきいたりしながら滑りをたのしんで第二ステージ終了。
滑ってくだるだけなのでこのステージは時間的にはあまりかからなかったが非常に気持ち良かった。
第三ステージ。いきなり出だしが登りで始まっている。やっぱり第一ステージ体力つかいすぎだったかもと、先の長さを感じてしまった。まあでも最後だし、なんとかなるでしょ!少し登ったらその先は下り基調だった。ついまた先の長さなど忘れ、うひょ〜と気持ちよく走る。ところどころくねくねと曲がっている所で横山さんはしきりにショートカットして楽しんでる。それをみて、おっ!そうくるか、でも前にはいかせないぞ。なんてやっているとペースは落ちない。仲間だけど妙に張り合ってしまう。この関係がおもしろかったりする。急なくだりでつまずき見事に前にダイブ!雪なので全然痛くはなかったけど、スケルトン状態で滑るのはちょっとドキドキだった。
その後前を行く横山さんもつまずいてダイブ。自分で自分のスノーシューを踏んだりしてしまうと前になす術なくパタンと倒れる。そのなす術無くパタンと倒れてる自分がなんだか笑える。
  コースが林道ぞいになると、デカイきれいな氷柱があったり、岩壁があったりでスゴイとこだな〜、景色いいな〜なんて感じながら進む。さすがに走るのがつらくなってきて歩きがメインになった。
あとで聞いたのだけれど、途中なにかに食べられた後の鹿が雪にうまっているのがいたようだが、見逃してしまった。ウサギの足跡はよくあって、彼等はきっと身軽にはねてるんだろうなあと自分の体の重さをひしと感じていた。 最後の登りの後半、人の声が聞こえてきて滑る人の姿らしきも見え横山さんに、人の声が聞こえましたよ、もうすぐじゃないですかね〜と話していたのだが、そのことをあとで聞くと、僕がつかれて幻聴をきいたり、幻覚をみてるんだろう、なんて思ってたらしい。
  やっとの事でゴール!今回はあまり補給もとらずにいたのでそんな感じだった。が最高にたのしませてもらった。
『SUMURAI SPIRITS』なかなかやるでしょ。

アドベンチャーレース体験記
チーム「プチfreedom」 長谷綾子さん 織田未那子さん 文:共同執筆
まず初めに、本大会を主催してくださったPowerSportsの皆様、共催関係者の皆様、7時間50分にも及ぶ長い時間面 倒を見てくださいましてありがとうございました。 心から感謝します。
序論
 〜大会に向けた買出し〜
・アイゼン。→使用せず。
・空を飛べるかもしれないタケコプター帽子。→ゲレンデの人気者になれたが、飛べず。
・熊よけの鈴。→熊は冬眠中。
・クロカン用シューズカバー。( \1,000−) →思いのほか大活躍。
・遠足のように山ほどのお菓子。→結局全部は食べきれず。
 〜レースに備えた体力つくり〜
・前日が今シーズン初滑り
以上を備え、大会に臨みました。
第一ステージ 人生初のスノーシュー。使い方もままならないままレースは始まった。スタート直後、先頭集団はあっという間に視界からいなくなった。スタートした以上、進むしか道はなし。先頭集団が切り開いた道を、足よりもお尻を使って滑り降りる。速い速い。どこで止まるのかも分からない、大自然の滑り台。スキー場は思った以上に勾配があるということを実感する。楽しみのつかの間に訪れる、新雪の登り。滑る滑る。一体どうやって登るのか空を仰ぐ。
ふと気が付けば、最後尾のポジションをキープ。精神的に気楽になり、リラックスして望めたが、闘争心(炎)はなくなり、この後のステージを想像し「完走」が目下の目標となる。
下まで降りると、頂上めざし林間コースをひたすら歩く。・・・歩く。走る力はどこにもなかった。たまにゲレンデに出て、現代音楽を耳にし、我に返る。「あら、タケコプタ−☆」何度となく、注目を浴びる。「ゴンドラはまでどれくらいですか?」何度となく、知らないボーダーに声をかける。コミュニケーション能力は抜群。ゼッケンをつけ、おりてくる参加者に声援を送る。人の心配をしている場合ではないのに・・・。
ほとほと疲れきった頃、係員発見!ということは、もうすぐ・・・? 最後の登り、小学生(?)の少女達から一言。「お姉ちゃん何やってるの??履いてるのなあに?」「雪の上歩いてるんだよ。これはね、その道具」。そんな会話しかできないほど、心も体も沈下寸前。やっとのことでスタート地点に戻る。時間は正午過ぎ。一着の方は第3ステージまで終わっていた時間とか・・・。
〜つぶやき〜
はせ「あれだけ雪の中にズボッと足が入っても、1000円シューズカバーで十分事足りたね」
おだ「うん。店のおじさんには、止められたけど買ってよかった。格好は二の次。」
はせ「スノーシューの履き方くらいちゃんと練習していけばもう少しマシだったかな?」
おだ「スノーシュー、正しく履かないと強制的にガニマタになって勝負に臨めないからね。」
はせ「最後の無邪気な少女たちに私たちはどう写ったのか?」
おだ「何でスキー場で歩いてるんだろう??お姉ちゃん達。と疑問しか残らなかったのでは・・・」
第二ステージ 15分休憩のところ、結局25分後に体力復活。大きくはみ出したスノーシュー、ランニングシューズをぶら下げた(凧紐でくくりつけた)リュックを背負い、一気にゲレンデを滑り降りる。・・・はずが、足に力も入らず、無難に下山。タケコプタ−が回っている感触を感じるが、スピードは変わらず。中盤から調子も出てきて、一気にゴールを目指す。・・・ストップ!着いたところは、ゴンドラ乗り場!?コースミス。スキー/スノボを脱ぎ、担ぐ・・・。歩く・・・。このステージ、雪上を(スキー/スノボブーツのまま)歩く種目はなかったはず・・・。愕然。なんとか軌道修正完了。前日時間がなくて、ここからのコースの下見ができなかったため、ゲレンデ状況は未知。それでもなんとか無難に滑りスタートから1時間後に到着。リュックから無残な姿になったバナナを頬張り、次ステージに臨む。
はせ「コースを間違えたことに気づいたときはだいぶへこんだね」
おだ「形相、変わってたよ。」
はせ「・・・今シーズンの発滑りが板を担いで歩いて登るなんて・・・」
はせ「あの恐ろしい形のバナナを食べた織田さんはエライ」
おだ「見栄えは関係ありません。必要なのはエネルギー。」
第三ステージ 再びスノーシュー。白樺に囲まれた、素敵な雪道を歩く。写真も撮り、機嫌よし。どんどん下って、さらにまたどんどん下って、ふと「ゴールは第3ステージのスタート地点より高いはず。下ったらその分上る??」と、頭をよぎるが、楽しめる間は楽しむことに決定。楽しみが終わった後には・・・ひたすら上り。水気を含んだ雪道は、思いの他足への負担が大きかった。無言になり、ふと気が付くと無意識の内に立ち止まり、ひざをついて休憩。すごく時間はかかるが、後退はしていない事実だけを確認しあい、少しずつゴールに近づく。4Kは4000メートル。一歩は50cm。さてゴールまで何歩!?頭をよぎるが、一歩足を進めることに集中。気を紛らわすために、意識して景色を眺めると凍った滝。大自然の探検だった。
「あっ、ヒト!」何時間も待たせてしまった、係の方を発見。本当に嬉しかった瞬間。少し気分も晴れ、歩き再開。今度は鹿の骨、動物の足跡などを見つけてはしゃいでみるが、相変わらず足は重く、無意識の休憩は必須。
「小屋だ!」(と喜ぶおだ)・・・「でもその先は山」(と冷めたはせ)。途方にくれる(二人)。なんだこの急な上り。長い・・・。「もう少しだぞぉ」。最後の力を振り絞って、進むと人工的な道に出た。あぁぁ、本当にゴールだ。

ゴール 皆様の助けの下、笑顔でゴール。でも足はがたがた。腕も痛い。本当に寒い中お待たせしました。 ダントツのビリにも関わらず女子の部入賞。表彰される。更に手渡されたもの・・・二升のお酒!更なる笑顔。ふと気が付くとシャッター音がぱしゃぱしゃ(芸能人並み)。ゴールできてよかった☆ 無事7時間50分のレースは幕を閉じました。

最後に 第三ステージ川(沢)沿いで待っていてくださった黄色っぽいウェアを着ていた係の方、無線機も携帯も充電が切れて、凍傷寸前の恐怖の中、信じて待っていて下さったこと、心より感謝しています。ありがとうございました。

はせ「次回、どうする?」
おだ「み、皆様にご迷惑がかからないようであれば........。」

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