レポート


 福島県猪苗代町、磐梯町、北塩原村の3町村にまたがる名峰、磐梯山。周辺には1888年の大噴火で川がせき止められてつくられた大小さまざまな湖沼が点在、風光明媚な風景を形づくっている。この磐梯山の麓をぐるっと一周するのが、第1回OSJ会津磐梯山ウルトラマラソンだ。レースには、猪苗代町総合体育館をスタートする100km部門と休暇村をスタートする65km部門の2つのカテゴリ―がある。

 6月5日、午前5時。まずは100kmの部がスタート。最初は田んぼが広がるのどかな風景の中を行く。その後、11km地点にある最初のエイドを経由し、秋元湖に向かって走る。しばらくは緑に囲まれた上り基調の舗装道路が続く。

 スタートから22km地点、中津川渓谷レストハウスのエイドに到着。ここにはドリンクのほか、会津産コシヒカリを使った塩おにぎりや、豚角煮竹の子入りおこわにぎりといった地元の方手作りの品々が並ぶ。
 エイドを後にし、上りの道を走っていくと視界が開け、左手に荒々しい山容の磐梯山の北側部分と秋元湖が見えてくる。この風景に今までの疲れも吹き飛ぶようだ。さらに上って、小野川湖を経由し、しばらくすると、右手に曽原湖が姿を現す。小さいながらも雰囲気のある湖で、見ているだけでほっと安らぐ。

 やがて、65kmの部のスタート地点で、100kmの部の第1関門でもある休暇村裏磐梯多目的広場に到着する。65kmの部は、100km部門の後半部分を走るコース。午前9時。163名の選手が元気に出走した。ここからは100kmと65kmの走者が混在することになる。
 しばらくすると、磐梯山ゴールドラインに入る。磐梯山の爆裂火口壁が見られる黄金平を経由し、上りから下りへ。関門のあるアルツ磐梯を通過し、国指定重要文化財の洋館の天鏡閣を通って、しばらくすると国道に出る。ここからは磐梯山の南側の穏やかな山容が望める。さらに猪苗代湖へと歩を進める。湖岸を通り、湖を背に北に向けて走り、昭和の森を過ぎれば、あと9kmでスタート地点でもあるゴールに戻ってくる。

 そんな磐梯山の麓を走る記念すべき第1回のレース100km部門を制したのは、正岡隼選手。タイムは7時間8分35秒という速さ。一度は2位の選手に抜かされた場面もあったが、スタートからほぼトップをキープしての優勝だ。100km女子の優勝は林絵里選手。2位の選手に1時間の差をつけて9時間16分22秒でゴールした。65kmの部男子は柳田尚皓選手が4時間48分21秒で、女子は鈴木瑠美選手が6時間32分10秒で1位を勝ち取った。

 ほとんどの選手に共通していたのが、「きつかった」。でも「景色が素晴らしくて、楽しかった」という感想だ。確かにきついコースではあったが、それ以上に素晴らしい景色がランナーを励ましてくれた。さらに、ボランティアの方をはじめ、地元の皆さんのもてなしも大きい。各エイドでは手作りの地元の名産が味わえ、こちらもランナーを励ましてくれた。きついけど、素晴らしいコース。だからだろうか、ゴールするランナーはみな笑顔だった。
 午後7時52分、最後のランナーがゴールしてレースは無事終了。最終ランナーの表情もまた、笑顔であふれていた。

取材・文/高橋 寿子

【100kmリザルト】
総合男子 総合女子
総合順位 氏名 記録 総合順位 氏名 記録
1 正岡 隼 7:08:35 1 林 絵里 9:16:22
2 渡邉 晋史 7:20:47 2 島田 未歩 10:17:46
3 志村 史雄 7:39:49 3 黒田 清美 10:54:35
4 西原 隆之 7:55:51 4 石野 久実 10:54:42
5 岡本 直也 8:06:11 5 猪俣 美樹 10:58:33
■DATA/出走者数337名、完走者数263名(完走率78.0%)

【65kmリザルト】
総合男子 総合女子
総合順位 氏名 記録 総合順位 氏名 記録
1 柳田 尚皓 4:48:21 1 鈴木 瑠美 6:32:10
2 宮崎 忠勝 5:06:41 2 山田 博美 6:37:59
3 原 和也 5:18:15 3 鈴木 志保 7:19:43
4 中村 大輔 5:23:10 4 常田 暁子 7:44:31
5 宗像 哲也 5:48:43 5 山田 佳奈 8:00:30
■DATA/出走者数163名、完走者数146名(完走率89.6%)



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