昨年の春、石川県山中温泉の旅館からメールを頂きました。要約すると「山中温泉の活性化のためにアウトドアスポーツを取り入れたい。なにかいいアイディアを。」と。
山中温泉といえば前職の旅行会社時代に、添乗員として何回か訪れていたところで、毎日大型観光バスが乗り入れ、街には浴衣姿で人が行き交い、有名な公共浴場「菊の湯」はいつも人で溢れていた記憶がありました。そんな日本有数の温泉地でも観光客離れが起こっているなんて思いもよりませんでした。十数年ぶりに訪れた山中温泉は、以前のような活況を呈しているような感じではなく落ち着いた雰囲気でした。
なんの自然の知識もなく訪れた山中温泉で、地域活性化のために、何が出来るかを考えました。郊外でのロードバイクレース、林道でのMTBレース、ダムを利用したトライアスロンなど。
けれど周りを見渡すと山に囲まれていることがわかり、地元の方々に山々のことを聞いたのですが、ほとんどの方が行ったことがないとか子供の時遠足にいったような記憶が、、、とのこと。
登山マップの存在もなく日本地理院の地図にも明確な登山道が記載してありません。「百聞は一見に如かず」ということで3日かけて山中温泉周辺の山々を歩き(時には走り) 回りました。その印象は奥久慈のトレイルに出会った時の感動そのものでした。3日間で人と出会ったのは5名以下、登りのキツさ、ブナの原生林、フカフカの極上トレイル、 渓流沿いの美しい林道、稜線からの展望など「これは凄い!」と、トレイルレースを提案。早速、国土地理院の地図にコース案を引き、レース開催に向けて一歩進みだしました。
そして出来上がったのが真夏の今回のレースです。当初予定していた74kmコースが崖崩れなどあり84kmに変更され、開催10日前にロード区間を回避することで74km コースに戻されるなど、参加者のみなさんにご心配をおかけしましたが、レース当日の猛暑を考えると84kmコースのまま開催していたらどうなっていたかを考えるとちょっと恐ろしいです。
今回他の大会以上に用意したのは水。当日の気温が34度とのことで、飲み水の他に被り水をと、ポリタンク(20リットル)110個、ペットボトル(2リットル)1000本を各関門や各エイドステーションに分配。各関門に医者、看護師を配置し万全な状態で選手を受け容れました。
結果はというと男子は中盤からトップにたった伊藤選手が逃げ切って優勝、女子はなんと総合でも10位と素晴らしい走りをした高村選手が優勝しました。出走388名のうち 完走者は107名と猛暑の中での完走率は27%でした。
北陸新幹線が開通したことで関東・関西・中部からさらに利便性が良くなり、台湾・韓国・中国から直行便が乗り入れている小松空港が近いので、来年はさらに参加者が増える予感がします。ただし「いちげんさん」お断りということで。来年、心して山中温泉に挑んでいただけるチャレンジャーをお待ちしております!
リザルト:男子
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リザルト:女子
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