OSJ TRAIL RUNNING RACE SERIES 2017

2014年、東北復興を願った大会「NASUロング」の後継大会として、催された「ITAMURO100」。
フィールドは那須岳の麓。
沼ッ原高原、深山ダム、三斗小屋など、湿原特有の神秘的なトレイルが大半を占める。
カテゴリーは100Kと30Kとを設定。100Kは30Kコースを3周回することとなる。


大会受付・コースガイダンス

選手受付は大会前日の7月28日(金)。
大会会場は、「板室健康のゆグリーングリーン」(栃木県那須塩原市板室温泉)。
連日降り注ぐ雨の午後。参加者は受付を済ませると、コースガイダンスに出席。

本大会では、ストックの使用禁止を採用し、大会前日のコースガイダンスの出席をも参加条件とした。
なぜなら、本大会コースは、奥那須の自然希少動植物が生息する地として、日光国立公園に指定されているためだ。

コースガイダンスを後にした選手が、各自の宿に戻る夕刻時。
雨脚が強まり、翌日を迎えることに……。



大会当日

大会当日の未明。
まだ夜の時間帯に、会場へ選手たちが集まりだした。
会場で荷物を預けると、選手各自は出走モードにスイッチ。
5時に一斉スタート。出走者は100K 220名、30K 97名。

曇空からは、冷たい雨が一層強く降り注ぐ。

スタートし、板室温泉街を通り過ぎ、トレイルパートに向かう。
板室温泉周辺のトレイルは地元住民のご協力により、切り開かれた手作りコースだ。
長雨で湿ったトレイルは、沢沿いということもあり、よりテクニカルなコンディションに。

トレイルをしばらく走ると、ロードパートに切り替わる。
エイドステーションの沼原までは、登りのロードラン。

沼原から、向かうは深山のエイドステーション。
その道のりは、下り基調の心地よいシングルトラックが続く。
国立公園というだけあって、自然美が作りだした幻想的なトレイルは、 本コース上で最も快適なパートだと言っても過言ではないだろう。

エイドステーションは、大会会場に加え、沼原池と深山湖の2ヶ所にも設定。
水、コーラ、おしるこ、ラーメン、ポテトチップ、味噌汁など、 OSJシリーズには珍しい充実っぷり(笑)は、概ね好評だった。
とりわけ、会場のエイドステーションでは、 巻狩鍋やパンなども振舞われ、100Kの選手にとっては嬉しい補給となったはずだ。

日中。気温が上がってきたものの、 止みそうで、止まない冷たい雨が降り注ぐ。

過酷な状況にもかかわらず、選手はフィールドへ向かう。
深山エンドステーションからは、古からある「三斗小屋温泉」まで、 なだらかな上りの林道とトレイルを突き進む。

三斗小屋温泉から沼原まで、一気に下るトレイルは、 伐採された笹が雨で湿って、とてもスリッピーな状態に。
慎重に下った選手は少なくないはずだ。

沼原から会場までは、往路と異なり、ロードではなく、 トレイルを下っていく。コース終盤。コタ山(標高810.5m)をはじめ、トラロープづたいのパートが待ち受ける。
急激なアップダウンなレイアウトで、選手の疲れ切った脚力が試される。

30KのTOPが板室温泉街に降りてきた。
栗原孝浩選手だ。そのまま3時間33分という、ダントツの速さで完走。
爽快な笑顔が印象的だった。

100Kは3周。制限時間は24時間。
脚力だけではなく、走りきるメンタルも兼ね備えていないといけない。

終日の雨の影響を考慮し、開催中にもかかわらず、 大会スタッフがコタ山周辺のトラロープを増設するため、フィールド入りする。

スタートから13時間後の夕方18時。
トレイルの状況、選手の安全面を検討し、 沼原からフィニッシュ会場までをロードに切り替えて続行。

100KのTOPは13時間37分でフィニッシュした矢部達也選手。
まだ、スタートは朝の5時だったので、時刻にして、18時37分。
夜のとばりが降りはじめた頃といったところか。
トレイルのコンディションは良くなかったものの、 比較的走りやすいコースだったことが功を奏したのだろう。
それにしても、大会会場はあまりにも早い完走タイムだ。

100Kの関門はスタートから16時間後の21時。
それまでに、2周回目をクリアしていたら、関門クリア。
そして、フィニッシュ制限はスタート後24時間の翌日朝5時。

奥那須フィールドを駆け抜けた選手たち。
雨に打たれ、泥を浴び、寒さに耐えしのぎ、 フィニッシュゲートへと向かい続けた。

完走率は100K 46.3%、30Kは80.4%。

フィニッシュ制限の時刻が過ぎても、 フィニッシュゲートへと向かう選手もいた。
その姿は、勇姿そのもの。

参加選手は、なにを思い、走り続けたのだろうか。
それは、このフィールドを走った者にしか分からないだろう。

大きな事故もなく、那須の奥地で開催された「ITAMURO 100」。
次回は好天のもとの開催を願うばかりである。



30K表彰式



30K:男子 30K:女子
順位 No. 氏名 総合記録 順位 No. 氏名 総合記録
1 1131 栗原 孝浩 3:33:42 1 1532 冨野 智恵子 5:18:27
2 1119 町田 知宏 3:44:49 2 1529 高崎 浩子 5:34:31
3 1114 辺田 淳 3:51:55 3 1525 郡司 和泉 5:42:38
4 1060 小林 慶太 3:54:04 4 1524 金田 歩美 6:15:33
5 1001 田辺 勉 3:55:07 5 1531 煖エ 奈津美 6:33:02

100K表彰式



100K:男子 100K:女子
順位 No. 氏名 総合記録 順位 No. 氏名 総合記録
1 236 矢部 達也 13:37:02 1 532 久保 亜樹子 19:32:46
2 259 高橋 和之 14:42:55 2 527 甲斐 愛子 21:07:35
3 226 宗石 和久 14:49:51 3 537 中本 逸恵 21:19:33
4 192 野寄 真史 15:01:48 4 524 今野 祥子 22:19:24
5 151 竹内 正宏 15:27:37 5 543 小林 恵理子 23:40:44

イベント事業部 奥山賢治
Photo by R.Yamamoto


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