OSJ KAMI 100OSJ KAMI 100

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大会直前、台風接近の予報…

 3月の新城トレイルから始まった2024年OSJトレイルランニングシリーズもKAMI 100でついにフィナーレ!2024年もここまで来たことを考えると感慨深いものがある。我々の地元、鎌倉からの距離も実に600km越え!大会が開催されるハチ北高原スキー場は兵庫県の北側に位置し、大会名の由来となっている香美町は日本海にも面しており、西側はすぐ鳥取県だ。
 OSJトレイルランニングシリーズの今年最後のレースに向け、準備を進めていたところ、雲行きの良くないニュースがあった。台風21号がONTAKE50の時と同じように中国大陸付近から進行方向を大きく変え、日本列島に近づくニュースが出ていた。温帯低気圧に変わる予報は出ていたが、雨量は気になる。大会日は天候が回復しそうだが、受付日はどうなってしまうのか…。


11月2日受付日はやはり大雨!

 KAMI 100は基本的には屋外のテント下での受付となるが、雨天を考慮し、急遽、備品置き場として使用している建物内で実施した。受付開始時間となっても選手はまばら。受付開始直後の雨量が一番多かったことが影響していた。そして、新幹線の遅延のニュースなどもあり、急遽、大会当日の朝も選手受付を実施することにした。ただ、結果的には当日受付の選手は少なく、多くの選手が前日に受付を済ませ、翌日に備え、宿泊施設に向かっていった。


11月3日大会当日は秋晴れ!

 一夜明け、綺麗に晴れ渡ったハチ北高原。そのお陰もあってか、多くの選手が笑顔だった。ただ、これから始まるのは、100K、74Kの長丁場のレースだ。KAMI 100のコースは37kmのコースをカテゴリー毎に1周、2周、3周と言う周回コースになっている。コース上では林道の一部の区間ですれ違いがあり、選手同士のエール交換も行われる。前半のトレイルは200名山の氷ノ山を眺めることが出来る、比較的眺望の良いコース。林道を挟み、後半は瀞川渓谷を含む、樹林帯のエリアが広がる。再び林道を使い、スタートしたハチ北高原に戻るコース設定となっている。ハチ北高原観光協会会長の田丸様からご挨拶をいただき、レースが定刻9時にスタートした。約250名の選手が壁のようなスキー場の上り坂を登って行く。トップ選手はもちろん走って…、だ。100K、74Kのスタート後、10時に37Kの選手がハチ北高原スキー場をスタートした。


レースの行方は…

 最初にスタート会場に戻って来たのは74K出場の桑本顕輔選手だ。2分と経たずに澤道人選手が続く。74Kのトップ争いは1周終了後でこの2人に絞られた。74K女子は上宮逸子選手が2位以下を大きく引き離し、独走態勢で1周目を終了した。100Kのトップは澤選手から5分と遅れずに安井和史選手が1周目を終了。2位に植田祐司選手が安井選手と2分経たずに1周を終えた。100K女子のトップ争いも白熱した展開だ。1位の大原愛恵選手と2位の野路康世選手の差も2分以内と僅差だ。
 100K、74Kの選手のボリュームゾーン到着前に一つのカテゴリーのチャンピオンが決まった。37Kカテゴリーの豊島正士選手がKAMI 100の大会中、最初のフィニッシャーとなった。豊島選手は2022年から見事に3連覇達成となった。37Kの女子は長谷川唯選手が総合でも6位となる好タイムで優勝となった。
 KAMI 100の100K、74Kは全員が日中から日没後まで走ることとなり、周回コースとは言え、コースは時間帯によって違ったコースの様に見えると思う。日没後、74Kカテゴリーで最初にフィニッシュゲートに姿を見せたのは澤選手だった。2位の桑本選手と常に抜きつ抜かれつを繰り返しながら74kmも走り、フィニッシュタイムはわずか4分差だった。74K女子は総合記録でも4位となった上宮逸子選手が故障明けにも関わらず、圧巻の走りで優勝。2位は昨年も2位入賞の桑本友美選手が続いた。
 一方、100Kも男女共にレースが動いていた。2周目を終えると男子は植田選手が1位に入れ替わり、2位、3位が冨田昌吾選手、松原克博選手、4位に安井選手と言う順位になっていた。女子も野路選手と大原選手の順位に入れ替わりが起こり、勝負の3周目に入った。3周目となると、周囲は暗闇に包まれ、トレイルの区間は走りにくい。疲労もピークだ。走れるところはしっかり走る、そう言う強い気持ちがなければ、ついつい歩いてしまい、タイムも順位も落ちていく。
 最後まであきらめず、100Kの最初のフィニッシャーとなったのは、冨田選手、松原選手の2人だった。スタート後、間もなく一緒となり、着いたり離れたりを繰り返しながら、最後は二人同時のフィニッシュとなった。3位は植田選手が入賞し、安井選手は粘って4位のポジションを死守した。女子も逆転劇が起きた。野路選手、大原選手を躱し、中塚裕美選手が女子トップでフィニッシュした。女子選手の多くが3周目は7時間台のタイムで周回したが、中塚選手は6時間台で走り切り、見事に逆転優勝を飾った。

KAMI 100の風景

 KAMI 100のコースを走るとトレイルの矢印看板やコース上に番号の書かれた看板を目にする。これは、地元のハチ北高原観光協会の方が、「大会以外でもランナーが走れるように」と言う思いから設置してくれた看板だ。また、走っているとコース上の落ち葉をどかしてくれている箇所や、滑りやすい坂道が階段になっていたりする(2022年大会の時は雨が降って滑りやすかった下り坂を階段状に整備してくれた)。これも地元の方が走りやすいように、と言う思いからコースを整備してくれた結果だ。
 エイドでも地元の方達が精いっぱいおもてなしをしてくれたと思う。特にスタート·フィニッシュのハチ北高原スキー場では周回毎に、おにぎり·コロッケ→うどん→カレーと食べ物が変わり、スタートに戻る楽しみもあったと思う。
 最終ランナーがフィニッシュを迎えたのが、11月4日(月·祝)の午前10時(最終関門時間)5分前だった。走っている最中、景色も日中から夕暮れを迎え、夜になると見上げた空には満天の星空があったと思う。そして、朝日を迎え、辿り着いたフィニッシュライン。どの時間帯にも地元の方々が温かい食べ物と一緒に選手を迎え入れてくれたと思う。また、大会中は夜間でも日帰り温泉施設「ハチ北温泉湯治の郷」で入浴が可能だ(シャトルバスで送迎も有り)。
 KAMI 100はOSJトレイルランニングシリーズでは1位、2位を誇るおもてなしの大会だ。このレポートを読んで、大会に興味が沸いた方は是非2025年、ハチ北高原スキー場を訪れて欲しい。それは、大会であっても大会でなくても良いと思う。地元の方は喜んで迎えてくれる筈だ。

文 J.I

【100Kリザルト】
総合男子 総合女子
総合順位 氏名 記録 総合順位 氏名 記録
1 冨田 昌吾 14:47:53 1 中塚 裕美 18:45:12
1 松原 克博 14:47:53 2 野路 康世 19:16:33
3 植田 裕司 14:57:51 3 大原 愛恵 19:52:29
4 安井 和史 15:34:49 4 河原 真美 20:06:06
5 稲次 寿史 15:42:04 5 池淵 由希 22:14:26
■出走数:191名 / 完走者:117名 / 完走率61.3%

【74Kリザルト】
総合男子 総合女子
総合順位 氏名 記録 総合順位 氏名 記録
1 澤 道人 9:07:42 1 上宮 逸子 9:57:57
2 桑本 顕輔 9:11:38 2 桑本 友美 11:34:33
3 荻須 創太 9:26:15 3 志水 るみ 11:40:12
4 三原 大輔 10:05:23 4 大濱 侑季 12:24:14
5 小寺澤 築 10:59:53 5 今川 賢美 12:44:54
■出走数:66名 / 完走者:44名 / 完走率66.7%

【37Kリザルト】
総合男子 総合女子
総合順位 氏名 記録 総合順位 氏名 記録
1 豊島 正士 3:41:45 1 長谷川 唯 4:41:29
2 茂木 敬史 3:49:11 2 森田 順子 5:44:33
3 住吉 拓也 4:38:45 3 山口 萌 6:03:43
4 吉川 昌隆 4:40:55 4 若杉 智美 6:24:30
5 船川 洋 4:41:00 5 柳田 揚子 6:44:27
■出走数:52名 / 完走者:51名 / 完走率96.2%

【100Kリレーリザルト】
総合順位 氏名 記録
1 K.G.四瑛会 14:46:28
■出走チーム数:1チーム / 完走チーム数:1チーム / 完走率100%


photographer Akihiko Harimoto