7月、海の日の3連休。今年も多くのトレイルランナーが長野県木曽郡の王滝村に集まった。
OSJ ONTAKE100。今年で14回目の開催となる。ONTAKE100は梅雨の最中での開催、と言うケースが多い。
ただ、今年は受付日の7月13日は太陽が少し顔を覗かせる時間帯もあった。
太陽が顔を出すと暑い…。本当に暑い。王滝村で既に標高が1,000m弱。太陽をやや近くに感じるせいだろうか。
暑過ぎるのも大会としては困りものだが、曇っていては景色が楽しめない。せっかくの御嶽山も見えず仕舞いでは遥々遠方から参加いただいている選手にとっては残念であると思う。
しかし、ONTAKE100は「走る座禅」だ。言わば、修行なのだ。参加する選手も修行の完遂が第一目標の筈。
きっと大丈夫…。スタート時刻が近づきつつあった。
まだまだ日は長い7月の連休だが、午後8時、しかも雨模様となると、周囲は真っ暗だ。
遠目からだと、一際明るい松原スポーツ公園のドーム下に100mileに挑戦する選手が集まっていた。
100mileに参加出来る選手はこのONTAKE100(旧おんたけウルトラトレイルも含む)の100km部門で14時間を切った経験のある選手のみ。その為、参加する選手も必然と少なくなる。エントリーは178名(出走は157名)。
7月13日、午後8時定刻にまずは100mileの選手が長旅に出発した。
一度静かになった松原スポーツ公園に今度は100kmにチャレンジする選手が集まって来た。100kmのエントリーは年々増加し、今年は1,481名。その内、1,241名がスタートラインに立った。100mileと同様、7月14日の午前0時定刻にスタート。1,000人を超えた人の流れは圧巻の一言。ヘッドライトの灯が川の様になっていた。
レーススタート後は雨が降り続いた。小降りの時もあれば、強く降る時間帯もあった。
大会のコースは2022年から大きく変わらず、100mileは第1ステージ(上松コース)を2周、第2ステージ
(滝越コース)を1周、100kmは上松コース、滝越コースがそれぞれ1周となる。
大会の直前、長く降った雨の影響で、滝越コースの一部が使用出来なくなってしまった為、後半のコースは一部変更が加えられた。9月にもONTAKE50が開催される(前日にはONTAKE100と同じく、1,000人規模のマウンテンバイクの大会も開催予定)。王滝村の林道は林業でも使用するが、イベントや大会に向けて、村の方の手によって修繕されたり、笹を刈ってくれたりと、色々と手が入っている。コース変更はあったものの、それ以外のコースは問題無い。王滝村の方々には頭が下がる。
100mile、1周目の上松コースを終え、最初に松原スポーツ公園に戻って来たのは、昨年2位の荒川純選手。
順調に最初の周回をこなし、2周目に入って行く。2位に昨年チャンピオンの中根孝太選手が続く。女子では昨年のOSJトレイルランニングシリーズ・クィーンの冨澤いずみ選手が先頭。冨澤選手を追いかけるのが原智美選手。原選手も2022年大会で3位に入っている実力者だ。
一方、明け方頃になると100kmの選手がぞくぞくと帰って来る。先頭は野坂慎吾選手。5分と開けずに小野寺祐太選手が続く。女子もトップの望月千幸選手と2位、境なつき選手との差は5分程の接戦となっていた。
100mileスタートの約11時間後、再度松原スポーツ公園に100mileの選手が帰って来たが…
1位から3位までが2分差の接戦だった。1位が中根選手。荒川選手と順位が入れ替わっているものの、1分と差が無い。そして、3位に太楽裕貴選手。太楽選手も2位とは1分差。大混戦だ。一方の女子は冨澤選手と 原選手の差が15分以上に広がっていた。女子は冨澤選手の独走になるのだろうか…
7月14日の午前10時近く。100kmのトップ選手が松原スポーツ公園に姿を現した。
トップは小野寺選手に入れ替わっていた。第2ステージの滝越コースに入り、第二関門までに逆転してトップに 立ち、そのまま逃げ切った。2位に野坂選手、3位に野本浩礼選手が入賞した。
100km女子も首位の入れ替えがあった。女子のトップは境選手。滝越コースで首位に立ち、逃げ切る展開となった。2位は久守由紀選手。久守選手は滝越コース、女子最速で猛追したが、境選手までは捉え切れなかった。3位は伊藤理恵子選手。伊藤選手は全区間上手く纏め、3位入賞となった。
そして、14日の午後1時30分頃。赤ゼッケンの選手が帰って来た。100mileの選手だ。
100mileでも逆転劇があり、荒川選手が1位を奪い返し、最初にフィニッシュテープを切った。
2位に太楽選手、滝越コース100mile最速の石澤毅士選手が3位と言う結果となった。
160kmも走り、1位から3位までが10分少々の僅差と言うことに驚かされた。
女子も原選手が冨澤選手を滝越コースで猛追。結果は冨澤選手が逃げ切ったが、2分差まで詰め寄った。
3位には桐畑まり子選手が入賞した。
天候は大会が間もなく終了、と言う14日の夕方まで降り続けたが、多くの選手が諦めず、フィニッシュを目指し、進み続けていただけたのではないだろうか。
「走る座禅」ONTAKE100。ひたすら林道を走るこの修行のような大会の完走を目指し、スタートラインに立った全ての選手の皆様、そして、大会の成功の為、力を貸していただいたサポータースタッフの皆様、大会開催に向け、ご尽力いただいた王滝村の皆様にもこの場をお借りして感謝の意を表したい。
また来年、王滝村で多くの選手とお会い出来るのを楽しみにしている。
文 J.I
【100kmリザルト】総合男子 | 総合女子 | ||||
総合順位 | 氏名 | 記録 | 総合順位 | 氏名 | 記録 |
1 | 小野寺 祐太 | 9:23:20 | 1 | 境 なつき | 12:17:48 |
2 | 野坂 伸吾 | 9:32:16 | 2 | 久守 由紀 | 12:25:54 |
3 | 野本 浩礼 | 9:39:59 | 3 | 伊藤 理恵子 | 12:34:15 |
4 | 櫻田 和志 | 10:03:19 | 4 | 望月 千幸 | 12:48:40 |
5 | 三浦 翔 | 10:04:18 | 5 | 荒木 美和 | 12:50:21 |
総合男子 | 総合女子 | ||||
総合順位 | 氏名 | 記録 | 総合順位 | 氏名 | 記録 |
1 | 荒川 純 | 17:36:02 | 1 | 冨澤 いずみ | 19:36:21 |
2 | 太楽 裕貴 | 17:45:00 | 2 | 原 智美 | 19:38:14 |
3 | 石澤 毅士 | 17:47:24 | 3 | 桐畑 まり子 | 21:33:36 |
4 | 丹羽 望 | 17:57:38 | 4 | 關 利絵子 | 21:48:03 |
5 | 中根 孝太 | 18:11:50 | 5 | 三村 希美 | 21:56:05 |