11月3〜4日の2日間、「みんな集まれ!王滝村Ⅱ!」を開催しました。このイベントは西日本豪雨により被害を受けた地域の復興を支援したいと、国内トップトレイルランナーたちが集結したイベントです。自身が走ることで復興に繫げる、トレイルランナーたちの想いの詰まったイベントになりました。
7月に開催予定だった「ONTAKE100」が、西日本豪雨の影響で村道が崩落してしまい、残念ながらレースは中止に。約1,500名のトレイルランナーが王滝村を訪れ宿泊、そして商店でのお買い物や飲食など、この時期の大きな観光事業がなくなり、王滝村としては大きな痛手を負ってしまいました。私自身(滝川)も大会中止で意気消沈していたところ、100マイラーの井原さんから「王滝村を盛り上げようよ!」とメッセージを頂き、都内の居酒屋で内輪のトレイルランナー山屋さん、田中さんと4人で何ができるかを考え、このイベントの開催が決まったのです。
ベースとなるのはトップトレイルランナーたち。3年前、御嶽山噴火で王滝村が大変なことになった際、全国のトップトレイルランナーに呼び掛け、復興を祈念して開催した「みんな集まれ!王滝村!」に協力頂いたトップトレイルランナーに再度呼び掛けて、着々と準備を進めてきました。呼び掛けが直前になり、また晩秋、国内レースが目白押しで、都合のつかなかったトレイルランナーたちには申し訳なかったのですが、レースの開催にはデッドラインの11月3-4日という紅葉真っ盛りな時期での開催になりました。
王滝村はもちろんのこと、特に被害の大きい中国地方の支援も大切と、トップトレイルランナーのみなさんにオークション商品を提供頂き、その収益を支援金として寄付をしようと、早速広島のトレイルランナー東さんに連絡をさせて頂き、中国地方の被災地にどのような支援策があるか検討してもらうことに。
それではレースレポートを一読ください。
100マイル、ミドルレンジ、バーティカル等、様々なシュチエーションが主戦場のランナーが集結するので、みなさんが満足行くコース、また観戦のしやすいコンパクトなコースを設定しなければと、幾度も山に入りコース視察、そして道なき道のコース整備をし、林道、沢登り、直登、シングルトラック、激下り等、変化に富んだコースになりました。みなさんには満足頂けたかはわかりませんが、限られた範囲でのコース設定としては自分なりに頑張ったかなぁ~と。
Top Trail Runner Of Japanは11月3日9時30分にスタート。1周目名取選手、上田選手、川崎選手等、ミドルレンジが得意な選手が先頭グループを形成し1周目トップで通過したのは名取選手。このレースが復帰戦だった上田選手は2周で終了と宣言していたので、2周回目を全力で走り49分というタイムで最速ラップを叩きだしました。上田選手が2周で終えそれからトップを引っ張ったのが矢島選手と反中選手。3周目を同タイムで通過し、4周目に突入。2人を追うのは東選手、土井選手。4周目も矢島選手、反中選手のランデブーで通過、コースミスもありましたが阪田選手が3位に躍り上がります。5周目もお互い譲らず矢島選手と反中選手が通過、3位土井選手4位小島選手5位原選手と実績のある選手が躍進し最終周回へ。トップでフィニッシュテープを切ったのは矢島選手、そして準優勝は最後まで粘った反中選手、猛烈な追い上げを見せた土井選手が3位でした。4~6周の各周回のトップラップタイムは原選手でした。女子は一周目上宮選手がトップで通過、その後林選手が堅実な走りを魅せ2~5周の各周回でトップラップタイムを叩きだし優勝、準優勝は斎藤選手、そして黒田選手が3位に食い込みました。
まずは表彰式。各周回でトップラップタイムを出した男女の表彰。そして男子1~6位、女子1~3位の表彰を行ないました。西日本豪雨の被災地への支援金としてトップトレイルランナーが持ち寄って頂いたチャリティー商品販売とオークション。カメラマンの藤巻さんからもオークション商品を提供頂き、総額13万円の支援金が集まり、東選手に支援金を託すことになりました。そしてトップトレイルランナー座談会を開催。登壇者はミスター100マイラー井原さん、一般人からトップ選手となった田中さんと黒田さん、トレラン界のプリンス上田さん、国内100マイル最強の土井さん、被災地から駈けつけてくれた東さん、いつも笑顔の美人ランナー上宮さん。内容は「今回のレースについて」「アジアで一歩抜け出している中国ランナーの台頭」「日本と世界の実力の差」「日本が世界と戦うためには」こんな内容で日本選手のレベルアップを中心の話題となり大いに盛り上がりました。最後にトレイルランの垣根を取り外し「ウルトラスカイバーティカル山岳耐久トレイルランナーズジャパン」の立ち上げにエールが送られ終了いたしました。
11月4日は前日トップトレイルランナーたちが走ったコースで一般レースを開催。1周10kmコースを4周、部門はソロ・ペア・トリオです。このレースの胆はトップトレイルランナーたちがコースに散らばり、みんなを応援すること。国内屈指の難コースを国内外で活躍するランナーたちに励まされ、みんなフィニッシュを目指し頑張りました。
急な開催告知にも関わらず、トップトレイルランナーそして一般レースに参加のランナーが王滝村に来村頂き、イベントは大成功に終わることが出来ました。開催のきっかけを作って頂いた井原さん・山屋さん・田中さん、現地で大会準備に協力頂いた大瀬さん、大会協賛頂いたニューハレさんとパタゴニアさん、そして王滝村に走りに来て頂いたトップトレイルランナーそして一般レースご参加頂いたランナーのみなさん、本当にありがとうございました。みなさまのおかげで王滝村、そして中国地方の支援に繫げることが出来ました。来年の開催は未定ですが、予想以上の反響なので、出来ることなら開催したいと思っています。2018年も残り1ヶ月と少し。お身体に気をつけて今年を乗り切り、心地よい気持ちで新年が迎えられるよう、祈念しています。これからもよろしくお願い致します。
滝川次郎
Photo by A.Harimoto