OSJ kami100


レポート

2022年OSJトレイルランニングレースシリーズ最終戦

 2022年3月末に行われたOSJトレイルランニングレースシリーズ第1戦「OSJ新城トレイル11K」に始まり、「ONTAKE100」、「安達太良山トレイル」、「KOUMI100」などのレースを経て、11月初旬、最終戦の第11戦を迎えた。それが「OSJ KAMI 100」だ。
 兵庫県美方郡香美町(かみちょう)ハチ北。冬には、関西随一の雪質を誇る「ハチ北高原スキー場」がオープンし、スキーヤーやボーダーで大いに賑わう。冬以外の季節でも、さまざまなアウトドアアクティビティが体験できる。さらに、香住カニや但馬牛などのグルメに、温泉にと、お楽しみ満載の魅力的なエリアが、ここハチ北なのだ。
 そんなハチ北で行われる「OSJ KAMI 100」レースは、ハチ北観光協会の全面的な協力によって開催される、関西圏唯一の100kmロングトレイルレース。レースは、37kmのコースを3周回する100K(実際は112km)の部と、ビギナー向けの37Kの部があり、ともに11月5日に同時開催される。
 レースのいちばんの魅力は、トレイル率80%のハチ北の大自然を満喫できること。ことにレースが行われる11月初旬はちょうど紅葉の時期と重なり、走りながら美しい風景に出合うことができる。

トレイルを彩る鮮やかな紅葉に癒されて

 11月5日、レース当日。ひんやりとした空気に包まれたハチ北高原スキー場にランナーたちが集まってきた。
 午前9時。まずは100Kの部がスタート。その1時間後に37Kの部がスタートし、長い1日が始まった。
 コースは、スタート・ゴール地点のハチ北高原スキー場を後にし、まずは標高1221mの鉢伏山を目指す。その後、髙丸山を経て、ひとつ目の大きなエイドステーションの美方高原コテージ村を通過。その後、野間峠、瀞川平、瀞川渓谷、そしてふたつ目の大きなエイドステーションの兎和野高原を経て、スキー場に戻ってくる。100Kの部はこのコースを3周回することになる。
 鉢伏山の上りでは、晴れていれば雲海が広がる幻想的な風景が見られるが、今日はあいにくの雨。気温もぐっと下がって寒い。ふかふかの落ち葉のじゅうたんも、雨のせいで濡れ落ち葉の道と化した。そんな中、ランナーを楽しませてくれたのが色とりどりの紅葉だ。トレイルを彩る鮮やかな風景に癒されながら、ランナーたちは黙々と走っていく。
 午後1時30分。37Kの部の選手がスキー場に戻ってきた。みごと総合1位を獲得したのは、地元、但馬出身の豊島正士選手。2位と30分以上の差をつけての、ぶっちぎりの優勝だ。タイムは3時間31分ジャスト。2位には片山慎也選手が、3位には高濱慶太選手が入った。
 一方、37K女子の第1位に輝いたのは、神奈川県から参加した前野裕香選手。タイムは4時間50分33秒。「エイドで1位の人を発見。彼女がそこにいる間に逃げ切りました」と茶目っ気たっぷりに話してくれた。女子2位には1位の前野選手とは約2分差で南條愛選手が、3位には岩佐亜生選手が入った。

地元の皆さん、ボランティアの方に改めて感謝!

 日が落ち、夜になってもまだ100Kの部のレースは続いている。100Kの部で総合1位に輝いたのは大分県から来た判田誠太選手。「3周目がきつかった。雨で足元が悪く、スリッピーな場所が多かったです。天気がよければもっと楽しめたのですが」といいつつ、出走者中、唯一、13時間台でゴールした。
 100K女子は昨年の覇者、向井成美選手が2連覇を達成。最初から男子選手に交じってアグレッシブな走りを見せ、総合でも8位と健闘。来年は3連覇を狙う。
 翌11月6日、午前10時。ここで100Kの部のレースは終了。100Kの部の完走率は52.8%。半数以上のランナーが制限時間内にゴールした。
 ところで、夜通し動いているのはランナーだけではない。地元の皆さんにボランティアの方、スタッフが夜を徹してランナーたちを見守り続けているのだ。エイドで提供される温かいスープにどれだけ助けられたことか。ボランティアの皆さんの声かけに、どれだけ励まされたことか。改めて感謝したい。

 このレースをもって、2022年OSJトレイルランニングレースシリーズも終了。そして、すでに2023年のOSJトレイルランニングレースシリーズのエントリーが始まった大会もある。2023年もまた、OSJのレースでたくさんのランナーの皆さんに会いたいと思っている。

取材・文/高橋寿子


【リザルト100K男子】
順位 氏名 記録
1 判田 誠太 13:38:55
2 松山 優太 14:17:07
3 岩本 慎吾 14:25:23
4 丹羽 望 14:36:02
5 石澤 毅士 14:41:49
  【リザルト100K女子】
順位 氏名 記録
1 向井 成美 15:09:36
2 村井 絢子 20:12:05
3 治久丸 友佳 20:20:56
4 大濱 侑季 21:28:08
5 高塚 千恵美 21:56:40
■DATA/出走者数286名、完走者数151名(完走率52.8%)

【リザルト37K男子】
順位 氏名 記録
1 豊島 正士 3:31:00
2 片山 慎也 4:07:04
3 高濱 慶太 4:16:19
4 吉田 祐史 4:22:22
5 天野 順二 4:26:25
  【リザルト37K女子】
順位 氏名 記録
1 前野 裕香 4:50:33
2 南條 愛 4:52:36
3 岩佐 亜生 5:08:01
4 冨野 智恵子 5:16:56
5 阪口 佳苗 5:23:13
■DATA/出走者数67名、完走者数64名(完走率95.5%)

11月4日(金)


11月5日(土)・6日(日)


Photographer Akihiko Harimoto