今から3年前、山中温泉のとある温泉旅館より「アウトドアスポーツで山中温泉を活性化させたいのでぜひご協力を。」とのメールが届きました。山中温泉というと前職の旅行会社の時、社内旅行や簡保旅行等の引率で何度か訪れたことがあり、宿泊場所での宴会の後、温泉街に繰り出すと居酒屋やスナック等、どのお店も人で溢れかえっていた記憶がありました。その頃から20年近くが経ち、メールを頂いてアウトドアフィールドを視察に訪れたら、温泉街にはゆげ街道という素晴らしい道路ができ、統一感のある素敵な温泉街に様変わりしていましたが、ホテルや旅館、飲食店等は減少していて、夜の温泉街は昔のイメージとは違い、人通りも疎らな印象がしました。
旅行会社の頃を振り返ると、観光というと金沢市内がメインとなり、宿泊は加賀温泉郷というパターンが多かった記憶があり、山中温泉での観光というと鶴仙渓を歩く位で、ましてや自然探索というイメージが全くありませんでした。アウトドアフィールドの視察の準備で、本屋にてハイキングマップ等を探したのですが、山中温泉近隣の登山情報は皆無、しかたなく国土地理院の地図を持参して山中温泉へと向かいました。地元の方々に登山情報をヒヤリングしても知っている方は少なく、とりあえず滞在4日間で国土地理院の地図を頼りに走り回りました。水無山、富士写ヶ岳、大日山、三童子山、鞍掛山、県民の森等、駆け巡ったのですが、ブナの原生林、澄み切った渓流、そして登山道の急勾配、テクニカルな下り、アップダウンを繰り返すトレイルに翻弄され、国内レース屈指の難コースが出来上がると確信しました。
そして未知なる山中温泉のトレイルを繋ぎ合わせた約70kmのコースが出来上がり、昨年8月に開催された第一回大会には約400名のランナーがチャレンジ。結果は例年よりも気温が上昇したこともあり、完走率は30%満たず、山中温泉の未知なるトレイルに多くのランナーが翻弄されることとなりました。
レース前日
レース前
今年の開催日は昨年の8月2日から10月30日に変更しての開催です。昨年の参加者からは、昨年同様灼熱の中での完走を目指したかったという声もありましたが、地元の受け入れ態勢がしっかり整い、1年のうちもっとも天候が安定することを考慮した結果、この時期での開催となりました。昨年に比べステップアップしたことは、加賀市が全面協力して頂けることになり関係諸機関の許可申請がスムーズだったこと、山中温泉全体がこのトレイルレースを好意的に受け止めて頂きスタート・フィニッシュ地点や選手受付・パーティー会場を街の中心部の菊の湯・山中座にて設定することが出来たこと、そして大日山山頂がコースに加わり総距離が約75kmに延長されることなどが挙げられます。レース
今年のレースは期待した通り天候に恵まれ、絶好のコンディションになりました。距離が延長されたとともに制限時間も1時間延長して行いましたが、大日山登頂という厳しいセクションが加わったため、完走率は30〜40%と予想してましたが、より優れたトレイルランナーが全国各地から集まったせいか、50%超えと高い完走率になりました。男子は第二関門までレースを引っ張っていた田中選手でしたが、五十嵐選手が追い上げ第三関門手前でトップに立ち優勝、田中選手が準優勝、そして齋藤選手が第三位となりました。女子は昨年リタイヤと悔しい結果だった実力NO.1の上宮選手がトップを譲らず優勝、そして淡々とラップを刻み続けた久保選手が準優勝、ウルトラマラソンでは国内トップレベルの原選手が第三位となりました。リザルト
男子 | 女子 | ||||||||||
順位 | No | 氏名 | 年齢 | 都道府県 | 総合記録 | 順位 | No | 氏名 | 年齢 | 都道府県 | 総合記録 |
1 | 45 | 五十嵐 太博 | 28 | 新潟県 | 10:13:56 | 1 | 548 | 上宮 逸子 | 38 | 愛知県 | 12:01:35 |
2 | 168 | 田中 良 | 33 | 兵庫県 | 10:17:18 | 2 | 528 | 久保 亜樹子 | 33 | 神奈川県 | 12:24:28 |
3 | 123 | 齋藤 直昭 | 25 | 秋田県 | 10:27:02 | 3 | 539 | 原 朋子 | 43 | 兵庫県 | 12:45:25 |
4 | 145 | 新名 健太郎 | 41 | 奈良県 | 10:36:00 | 4 | 534 | 中尾 雅子 | 49 | 岡山県 | 13:44:41 |
5 | 9 | 田辺 勉 | 39 | 埼玉県 | 10:37:14 | 5 | 537 | 馬場 美加 | 43 | 東京都 | 14:00:47 |
フィニッシュ
表彰式
山中温泉はOSJトレイルシリーズに例えると新城と奥久慈のコースを合体させシャッフルしたようなコース。また王滝や小海等と同様に地元のホスピタリティを感じることが出来るレースです。回を重ねる毎にこのレースが山中温泉に定着し、地元のみなさんにも愛されるレースになって行く予感がしています。ガッチリとトレイルに浸りたいランナーのみなさん、来年は山中温泉でのレースの参戦もぜひ視野に入れて頂ければと思います。山中温泉のトレイルは期待を裏切りません!