レース当日のアドバイス
【レース当日】


レースシュミュレーション
●レース前  ●スタート  ●レース中  ●フィニッシュ  ●アドバイスコラム  ●最後に

[レース前]
コース説明会に必ず出席する
スタート前には必ずコース説明会があります。とても重要なのでよく聞くこと。種目(距離)によっては折り返しブイの位置が違う大会もあります。もしわからなかったら何度でも質問しましょう。 またブイは泳いでいる目線では見えにくい場合があります。そのときのために目標となるブイのそのまた先にある大きい目印(岩、灯台、船、砂浜のテントなど)を教えてくれる場合もあります。効率よく速く泳ぐためのヒントを教えてくれるので、コース説明会には必ず出席し、ポイントを聞き逃さないようにしましょう。

ウォーミングアップ
会場に着いたらウォーミングアップをしましょう。しかし、そんなに気合を入れて泳ぐ必要はありません。まず水に入り、プールと海との違いを体で感じとってください。歩いてみたり、浮いてみたり、潜ってみたり。また、偵察がてらコースを途中まで泳いでみたりと思いつくことは何でもしてみましょう!ウォーミングアップの時間は20〜30分程度が適当でしょう。もし水温が低ければ時間を短縮してもOKです。

[スタート]
スタートしたら足元に注意
レースの楽しさの1つがカウントダウン形式で行われるスタートにあります!カウントダウンが始まると、スタート周辺には選手たちの何ともいえない緊迫したムードが張り詰めます。この緊迫感が結構楽しい! 逆にまったく緊張しないのは少しつまらないと思います。せっかく参加するのだから、選手気分を十分に味わいましょう。 「3、2、1、ゼロ!」のスタートの合図と同時にみんな海に向かって砂浜を走り出します。しかし、特にビギナーの皆さんはここで焦ってはいけません。落ちついて、人の少ないコースを探しゆっくり歩いて水に入りましょう。入水後も足元に気をつけながらゆっくりと進み、腰から胸のあたりまで水に浸かりはじめたら泳ぎに移りましょう。

泳ぎ始めはスローペースで
最初は軽くウォーミングアップをするつもりで泳いでください。「少しゆっくりすぎるかな?」と思うようなペースでいいと思います。徐々に体が暖まり、肩が回るようになってきたら自分にあったペース探しましょう。徐々にペースがつかめてくるはずです!『イチ・ニ・イチ・ニ』でもいいし、自分の好きな歌でもよし、頭の中で一定のテンポでリズムをとりながらペースを一定に保ちましょう。

このスタート直後に気を付けたいことは、周りの雰囲気にのまれ、オーバーペースにならないようにすること。舞い上がって練習でも泳いだことがないくらいにスタートダッシュをかけたりするとペースはガタガタになり後で苦しい思いをするだけです。
さらに自らバトルの中に入り込むようなことは絶対にしないように気をつけましょう。『前の泳者を追い抜いてやろう』なんてことは思わないほうが身のためです。必ず後悔しますよ。

[レース中]
進行方向を確認しながら泳ぐ

知らない人の足を見ながら、後をついて泳いではいけません! あなたの周りで泳いでいる人たちは間違いなく初心者です。信用してはいけません! 一緒になってコースアウトしてしまうでしょう。自分のコースは自分で決める!それもラフウォータースイムの1つの楽しみなのです。「クロールで少し泳いだら平泳ぎ」のコンビネーションを繰り返し行い、自ら進路を確認しましょう。たまには両サイド呼吸のクロールでの確認も採り入れましょう。これらのことを確実に行うことで、結果的にはゴールへの近道となります。くれぐれもコースのショートカットはしないように、またコースオーバーはできるだけしないように。ショートカットの場合は失格を取られることもあるので注意しましょう!

疲れたら休む!
道のりは長いです。疲れたら遠慮は要りません。休みましょう。もし底に足がつくのなら立って休みましょう。失格にはなりません。ブイや監視の船につかまって休んでも失格にはなりません。なんでもありがラフウォータースイム流です。

また上向き(背浮き)になって休む方法もあります。海水には浮力があります。リラックスして仰向けになり、腕を大きく横に広げて浮きながら、深呼吸をゆっくりと2つ3つしてください。こうすれば、疲労も少し回復するでしょう。プールのように顔が沈むなんてことはないので安心して休んでください。この方法は万が一、ゴーグルが外れた場合にも使えます。なお、疲れてはいるが休むまでには至らない場合、クロールから平泳ぎに変えてみるのも1つの方法。泳法チェンジでかなり気分的に楽になるはずです。

泳いでいることを楽しむ!
自分のペースを見つけて余裕が出てきたら、海中を観察しながら泳ぐのもよい考えです。水に射し込む太陽の光や、珊瑚、変化に富んだ海底の地形が気持ちをなごませてくれます。せっかく遠くまで来たのだから十分に楽しむこと。一緒に泳いでいる友だちらと時には会話をしたり、少しぐらい寄り道して、熱帯魚を追っかけてみるのも素晴らしいアイデアだと思います。

波や流れに逆らわない
泳ぎ始めると波が不規則に寄せて来たり、潮の流れが思った以上にあることに気付きます。これで戦意喪失してはいけません。それどころか、波や潮があることがラフウォーターの醍醐味といえるのです。 
 
波や流れがあっても、それらに逆らってはいけません。力を抜きリラックスして、ゆらりゆらりと波に身をまかせて泳ぎましょう。ただし、進行方向だけは確認するように。とはいっても、波が高く、流れが強い場所で行われるレースはほとんどありません。ご心配は無用。

ここでワンポイントアドバイス! 
クロールで泳ぐ場合、リカバリー時のエルボーアップはあまり気にせず、また、ヒジから先の手は比較的高めに上げたほうがよいと思います。波にひっかかり、テンポを崩すかもしれませんので。

ラフウォータースイムの大会では途中で給水や休憩もできる ので初心者にとっては心強い

[フィニッシュ]  フィニッシュは余裕をもって、手をあげて!

フィニッシュは両手を挙げてカッコ良くするのが ラフウォータースイム流! 水深が浅くなり足のつくところまできたらゆっくりと体を起こし立ちあがります。長時間浮力のサポートを受けて泳いでいた体はこの瞬間、疲労と重力によりかなり重たく感じます!『カッコ良くフィニッシュしよう!』と思っていきなり走り出すとヒザが抜けて転んでしまったりしますよ。実際にこんな光景を良く目にします。逆に、両手を上げて声援に応えながらゆっくり歩いて余裕のフィニッシュをした方がカッコ良い! フィニッシュ付近には応援の人や先にフィニッシュした選手たちでいっぱい。きっとみんなが拍手で迎えてくれることでしょう!

そして、フィニッシュゲートをくぐればあなたは立派なフィニッシャーです。あなたの周りにはたくさんのフィニッシャーがいるでしょう。レース中にあったことなどをフレンドリーな気分で気軽に話しかけてみましょう! きっと話が弾むと思います。新しい仲間が増えて、次のレースに出場する良いキッカケにもなるでしょう。

 

フィニッシュは両手を挙げてカッコ良くするのが
ラフウォータースイム流!


◇泳ぐ姿勢を整える 姿勢を整えることで抵抗を減らします。少ない力でより進めるようになります。
◇クロールの呼吸は片側で毎回。または両サイドで3回に1回

酸素は車でいうガソリンと一緒、常に補給しないとからだが動かなくなります。
1/2または1/3の呼吸で泳ぎましょう。

◇テンポを一定に保つ

ジョギングと一緒です。軽やかなテンポでリズムに乗せて泳ぎましょう。
◇最短コースを泳ぐ 面倒でも常にコース確認し、最短コースを探して泳ぐことが結果的にタイムの短縮につながります。ビギナーはクロールと平泳ぎの併用で泳ごう。

アドバイス【より楽しむためのグッズ

ゴーグル
ゴーグルはできるだけクリアーか薄いブルーがおすすめ。せっかくきれいな海で泳ぐのだからもとの海の色に近い状態で見えた方が気持ちいいですよ!また曇り止めは必ずつけること。私の経験から言うとレンズにつけるのはスタート直前に!気温が高くなると曇り止めが蒸発してしまうからです。早め早めの準備はよいことですが、曇り止めの場合、話は別 。また視力の弱い人は度付きゴーグルか、コンタクトレンズをしましょう。ブイが見えない、まっすぐに泳げない。これでは体力消耗が加速化してしまいます。
ワセリン
男性の場合、泳いでいると結構わきの下などが擦れます。擦れてくると塩水がしみて痛いので、事前にワセリンをたっぷり塗っておくことをすすめます。ちなみに私は、わきの下以外には、肩。呼吸時に肩と顎のあたりが摩れるくせがあるので肩に塗ります。また首の後ろに塗る方も多いようです。女性の場合は水着の肩ひものあたりに塗るとよいようです。

[最後に]

オープンウォーターでのスイムレースは楽しいスポーツであるという反面 、自然を相手にするため危険が伴うことも理解してください。絶対に無理はしないこと! 棄権するには勇気が要りますが、時にはそれも必要です。

以前、私が参加したレースにこんなことがありました。何度かオープンウォーターでのスイムレースを参加した経験があるという年配の女性は、自信があったのか平泳ぎと背泳ぎを繰り返し泳いでフィニッシュを目指していました。そしてフィニッシュまであと数100mのところで、「最終泳者が帰って来ました」というアナウンスがあり、選手みんなで泳いでいるその女性を見守っていると、突然沈んでしまったのです。そのときはたまたま水温も低く、長時間に渡り水に入っていたため、体の消耗が激しく、かなり無理をしていたのだと推測できます。そして、救急車で運ばれて行く光景を目の当たりにし、それまで盛り上がっていたレース会場の楽しい雰囲気は一変してしまったのです。幸いにも命に別 状はなかったとのことですが、そのようなことがあると本人の家族はもちろん、一緒に来ている仲間や大会関係者また他の選手たちにも心配をかけてしまうことも忘れないようにしてください。限度を超えた無理は絶対にしないようにするのは、泳ぐ人たちの約束事なのです。

レースでは決して無理せず、楽しい思い出をつくりましょう!
スイムレース会場で皆さんとお会いできることを楽しみにしています



【テクニック】