スカイレースワールドシリーズ第4戦
OSJおんたけスカイレース開催リポート! |
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2006年6月、サッカーワールドカップで日本中が盛り上がり、決勝進出を目指しジーコジャパンが切磋琢磨しているこの時期、山岳ランナーにとって待望のスカイレースワールドシリーズ・日本大会がやってきた。
日本大会開催の話が持ち上がったのは昨年10月。スカイレースのコース設定基準は厳しいが、初めての日本での開催であり、欧米のように山岳レースが日常的に行われていない状況を踏まえ、スカイレース事務局からは(1)3000m級の山岳での開催、(2)全長25km以上のコース、2つの条件のみ課せられた。ワールドシリーズでは世界的に有名な山々で開催されているので、日本大会でも胸をはれるような開催場所を選定するため、3000m級の山をピックアップし、信越の山々を走りめぐった。初めは全く視野になかった御嶽山だったが、御嶽山登山口から頂上に向かう登山道、剣が峰から二の池、五の池を巡る登山道はまさしくスカイレースにふさわしいとスカイレースワールドシリーズ事務局にPRし、2006年の日本大会は御嶽山で決定した。
当初コース設定したときは全長32kmで、王滝村中心部からスタートし、御嶽山頂上へ。そして木曽福島市(旧三岳村)へ下り、再び御嶽山頂上へ上り返して、おんたけスキー場へフィニッシュするコースだった。しかし、昨冬の大雪でコース上の雪が溶けず、止む終えず木曽福島市へは下らずに御嶽山頂上から剣が峰、二の池、五の池、三の池、覚明山を周回して、御嶽山頂上からおんたけスキー場を経て、おんたけ銀河村キャンプ場でフィニッシュする全長24kmのコースに変更することにした。
事務局との開催日程調整で6月となったが、この時期の御嶽山の天候は安定せず、月間の降雨確率は60%を越える。さらに濃霧になり視野1m以下になる確率も高い。濃霧で選手がコースミスしないようにと、コーステープを必要以上に備え付け、道しるべを作った。エイドステーションの水やコース標識などの運搬で何度も御嶽山頂上を往復した。コースを短くしたが、それでもコース上に雪渓があるため、ステップを切りロープを取り付け万全を期した。
いよいよ海外選手の到着だ。今回の海外選手はイタリア、フランス、イギリス、スペイン、アンドラ、中国と20名を越える。これほどの海外選手が日本やってくるのは、アウトドアスポーツイベントでは近年見られなかったこと。主催者としてもワクワクしてくる。大会前日の13時から17時まで選手受付、18時から競技説明会を兼ねた開会式。開会式では今大会実行委員長胡桃沢氏の挨拶、地元王滝村の子供たちの太鼓の演技、スカイレースワールドシリーズ事務局のアルバート氏の挨拶、海外選手の紹介、そして競技説明を行った。とりわけ海外トップスカイランナーの紹介では大きな拍手が沸きあがり、日本選手たちは同じ土俵でレースが出来ることを実感してか、喜びをかみしめていた。
3〜4日前までは大会当日の降水確率予想は70%。スタッフは数日前から天気図とにらめっこ。梅雨前線はややずれてきて、当日の天気は曇り時々晴れ。「やったね!」朝起きて思わず拳を握り締めた。大会前日から御嶽山に上り待機しているスタッフは約30名。そのスタッフからの連絡で「寒いけど視界はばっちり!ご来光も見えたよ!」と弾んだ声が聞けた。AM6:30、スタート前のセレモニーが行われた。御嶽神社の宮司によるレースに安全を祈願したお祓いで参加者は粛々と頭を下げていた。
参加者は225名。AM7:00予定通り「OSJおんたけスカイレース」はスタートした。標高1250mの大又地区からスタートし3067mの第1関門の剣が峰頂上まで一気に駆け上がる。通常の登山者は剣が峰までは9時間かけて登るが、トップのフルビオ・ダピット選手(イタリア)の通過タイムは1時間45分。どんな心臓と健脚を持ち合わせているのか山頂スタッフは舌を巻く。続々とスカイランナーたちは剣が峰を通過し、女性のトップのアンジェラ・ムッジ選手(イギリス)も10位と好位置をキープ。山頂の気温はそれ程上がらず10℃前後と選手にとっては条件的に悪くない。だが、御嶽山の誘導や計測スタッフにとっては厳しい寒さとなったようだ。スタートしてから3時間が過ぎ、見通しの良いフニッシュ地点の銀河村キャンプ場から遠くにトップのスカイランナーが猛烈な勢いで下ってくるのが見えてきた。フルビオ・ダビット選手だ。フルビオ・ダビット選手は2位に2分の差をつけ3時間20分51秒で優勝した。準優勝はロブ・ジェブ選手で3時間23分00秒。日本選手トップは松本大選手(群馬)で総合5位に食い込んだ。女子優勝はアンジェラ・ムッジ選手(イギリス)で2位に9分差をつけた。(タイム:3時間51分39秒)準優勝は昨年度のシリーズチャンピオン、コーリン・ファーブル選手(フランス)だった。(タイム:4時間1分9秒)非常に厳しいこのOSJおんたけスカイレースの山岳コース。しかし、最後まで断念することなく国内外のスカイランナーたちはフィニッシュを目指した。最終チェックポイントを時間内にくぐり抜け、フィニッシャーとなったスカイランナーは221名で完走率は98%を越えた。
海外選手のOSJスカイレースのコースがマレーシアのキナバル山のコースの厳しさと似通っており、さらに天空を駆け巡る御嶽山頂の周遊コースには絶賛していた。そして、スカイランナーワールドシリーズ事務局のアルバート氏は日本のスカイランナーの健闘を称え、また来年、日本での再会を約束して母国へ帰って行った。
さて来年。開催時期の変更やコース延長の可能性はあるが、御嶽山での開催は間違いない。来年も霊峰・御嶽山がスカイランナーたちを優しく迎え入れてくれるだろう。 |
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